福岡は「東アジアのハブ空港都市」になれるか 今こそ地域トップのセンスが試されるとき

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年間利用者数は、およそ2000万人ほどで(うち国内線1600万人)、この数字は、25年前のシンガポール・チャンギ空港と同等です。

その後チャンギはターミナルを増やし、現在7000万人の年間利用者を誇るアジアを代表するハブ空港に成長。来年開業予定のターミナル4、そして計画されているターミナル5ができれば、年間利用者は1億人を超えるものとみられています。

近年は、空港の年間利用客数と都市力は比例するものと考えられており、人やモノが集まれば、必然とお金も集まるわけで、それゆえ、人口500万人のシンガポールが1億人規模の空港の完成を目指すことになるのです。

ということは、都市圏人口250万人の福岡であれば、現在の倍から3倍の規模の空港利用者を増やせば、東アジアのハブ空港に成長できる可能性を秘めていることになります。

驚異的な成長を遂げたドバイに学ぶ

しかも、北九州福岡大都市圏としてみれば、シンガポールとほぼ人口は同じですので、今後25年計画で、年間利用者1億人を目指す壮大なビジョンを立てることも可能になります。

福岡新空港の話は、いつも現れて消えていくのを繰り返しており、しかし、25年前に計画され、当時は絶対にうまくいかないと日本から揶揄されていた韓国の仁川は、開業15年経ったいま、利用者が4500万人を超えるほどに大きく成長しました。

また、驚異的なのは福岡と同程度の人口を持つドバイです。2005年に国際旅客数世界11位だったのですが、わずか10年で世界1位の巨大空港へ大躍進。2020年までに年間利用客1億人まで拡大し、さらに近隣に2億人規模の新国際空港も建設する計画も発表しています。

「空港力」とは、僕がよく使う言葉で一般的ではないと思いますが、21世紀にそれは都市力を意味していると考えて間違いありません。

現在、仁川は空港を中心とした自由貿易地区構想を発表し、早くも2020年に開業予定で、いよいよ「空港都市」を目指すように見えます。

福岡の未来は、「空港力」にかかっているのは間違いなく、はたして25年後の空港をどのように描けるのかが、都市の未来ビジョンそのものになるでしょう。

地域トップのセンスが、試される時です。

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高城 剛
たかしろ つよし

1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

 

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