安倍首相が経済対策の月内取りまとめ指示、国債発行も検討

デフレからの「脱出速度を最大限にあげる」

 7月12日、安倍晋三首相は、1億総活躍プランの加速化やリニア中央新幹線の計画前倒しなどを盛り込んだ総合的な経済対策を7月中にまとめるよう、石原伸晃経済再生担当相に指示した。写真は都内で昨年5月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 12日 ロイター] - 安倍晋三首相は12日、1億総活躍プランの加速化やリニア中央新幹線の計画前倒しなどを盛り込んだ総合的な経済対策を7月中にまとめるよう、石原伸晃経済再生担当相に指示した。

財源として、低金利環境を活用した財政投融資を示したほか、公共事業などに使途を限った建設国債の追加発行を検討する。2020年度の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化目標は堅持すると表明した。

首相は、現在の国内景気について、個人消費や民間投資が力強さを欠いた状況にあると指摘。加えて、新興国経済の減速や英国の欧州連合(EU)からの離脱決定なども背景に「世界経済の需要低迷、成長の減速リスクが懸念される」との認識を示した。

その上で、アベノミクスは雇用・所得環境の改善など「確実に成果が生まれている」としながらも、「道半ば」と指摘。デフレ脱却に向けた「脱出速度を最大限にあげる」ため、「未来への投資の加速を目的とする総合的かつ大胆な経済対策を講じなければならない」と表明した。

<リニア、整備新幹線、クルーズ船向け港湾整備>

具体的には、1)アベノミクスの成果の活用も含めた来年度以降の1億総活躍プランの加速化、2)観光振興や農産物輸出促進、農業競争力強化に向けたインフラ整備とリニア中央新幹線の計画前倒し、3)中小企業・小規模事業者や海外展開企業の資金繰り支援、4)熊本地震や東日本大震災からの復興・防災対応の強化の加速━━の4点を指示した。

経済対策の規模について、石原経済再生相は「これから検討し見えてくる」と述べるにとどめた。財源について「赤字国債発行は望ましくない」としつつ、建設国債の追加発行は検討する。

インフラ整備には、北海道新幹線の札幌延伸や北陸新幹線の大阪延伸など整備新幹線も含まれる。

中国人旅行者などが利用する大型クルーズ船の着岸を可能とする港湾整備や、農産物の海外輸出を促進する加工施設を空港や港湾の近くに整備することも検討する。

<石原再生相「中長期の金利高騰考えにくい」>

1億総活躍プラン加速では、保育士の処遇改善など項目によっては2017年度以降も予算措置が必要となる旨を記述するという。

財政投融資に対しては、将来的な金利上昇に伴う逆ザヤを懸念する声もあるが、日銀がマイナス金利政策を進める中、「中長期の金利高騰は考えにくい」(石原再生相)とみている。

*内容を追加しました。

(伊藤純夫 竹本能文)

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