日本初「健康な人ほど得する」医療保険の正体 ビッグデータをリスク解析し適正保険料を算出

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健康年齢連動型医療保険は、がんなど特定の疾病で入院した場合に一時金として80万円が受け取れる保険だ。この金額はがん保険の診断給付金とほぼ遜色がない。細かい保障内容にはむろん差があるが、実際に保険料を比較してみるとその差は歴然としている。

たとえば、がん保険の中でも比較的保険料が安いと定評があるアクサダイレクト生命の「アクサダイレクトのがん終身」をみると、50歳男性の月額保険料は2680円だ。この保険料で、がん診断給付金100万円と入院給付金日額(日数無制限)1万円の保障が付く。一方、健康年齢39歳で算出した同保険の月額保険料は前述の通り1521円だ。ただし、同保険は1年更新の商品のため、毎年保険料が変動する。仮に今の良好な健康状態を今後10年間維持するとして、アクサダイレクトのがん保険と、10年間で支払う保険料総額を比べてみよう。

がん保険の方は、月額2680円の保険料は一生涯変わらないので、10年間に支払うトータルの保険料は32万1600円となる。一方、同社の医療保険は仮に、健康年齢が1歳刻みで上がっていくとして、加入時の39歳では月額1521円、40歳では月額1667円、41歳では1813円……10年後の48歳(実年齢は59歳)では月額3545円となり、10年間トータルでは28万8636円となる。がん保険との10年間で支払う保険料の差は3万円にも上る。

もちろんメリットばかりではない

しかも、同社の医療保険はがんを含めて5大生活習慣病による入院が保障の対象だ。入院給付金や手術給付金、各種特約、セカンドオピニオンサービスなど付帯サービスは皆無だが、がん保険の代わりとしても十分に競争力のある保険料水準となっている。

加えて、持病や既往症があって、通常の医療保険の引き受けを断られた人でも加入し易い「引き受け基準緩和型」の商品となっていることも、大きな特徴の一つ。高血圧や糖尿病で服薬をしていても、「過去1年以内に5大生活習慣病で入院をしていない、入院を勧められていない」という条件をクリアすれば加入できる。がんに罹患(りかん)し、抗がん剤治療を続けている人でもこの条件を満たしていればむろん申し込むことが可能だ。

ただしメリットばかりではない。まず前述の通り、1年更新の保険のため、毎年算出した健康年齢に基づいて保険料が変動すること。健康診断の数値が良くなければ、保険料が大きくハネ上がる要素は当然ある。さらに、5大生活習慣病で入院し、80万円の給付金を受け取ったあとは、保障が消滅してしまう。そこからさらに1年間待って、告知項目に該当しなければ再び保険に加入することはできるが、その場合でも1年間の"無保険期間"が出てきてしまう。

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