日本初「健康な人ほど得する」医療保険の正体 ビッグデータをリスク解析し適正保険料を算出

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だが、同社はノーリツ鋼機グループの子会社で、兄弟会社に約300万件に及ぶ医療データベースを有する日本医療データセンター(JMDC)を持つ。JMDCは10年以上前から、健保組合から預かった健康診断の結果とレセプト(診療報酬明細書)をデータベース化する仕事を請け負っており、膨大な医療データの蓄積があった。「保険会社では把握しにくい退院後の通院日数などのデータ、抗がん剤治療の期間やかかった医療費のデータなど、膨大なビッグデータがあるからこそ、加入時の健康状態に応じたリスク分析が可能になり、保険の商品化が実現できた」と大橋社長は言う。

保障内容はいたってシンプルだ。がん・脳卒中・心筋梗塞・高血圧・糖尿病の「5大生活習慣病」で入院した場合に給付金が80万円受け取れる(日帰り入院も可)。特約や付帯サービスなど一切ない。加入の際の引受基準もいたってシンプル。「過去1年以内に上記の5大生活習慣病の治療で入院したことがあるか、または入院を勧められたことがあるか」の2つの質問(告知)にどちらも「いいえ」であれば加入できる。つまり、持病や既往症があり日常的に薬を飲んでいる人でも、過去に大病を患ったことがある人でも、この2つに該当しなければ原則的に引き受けOKとなる。

実年齢マイナス11歳!という結果に驚く

保険料が個人の健康状態によって異なるのは前述の通り。ちなみに現在50歳の記者が半年前に実施した健康診断の12項目の数値をもとに、同社のウェブサイトで健康年齢を試算したところ、なんと39歳(実年齢マイナス11歳)という結果が出た。決して健康的とは言えない生活の中でも"健康オタク"を自認する記者が、今この保険に加入した場合の月額保険料は1521円と算出された。もし、健康年齢が実年齢と同じ50歳と出た場合の保険料は実に4216円と3倍近くの金額になる。実年齢と健康年齢との保険料の差はかなりの衝撃だ。

■ 健康年齢と月額保険料の例

健康年齢 男性 女性
20歳 273円 898円
30歳 679円 1123円
40歳 1667円 1597円
50歳 4216円 2483円

 

ほかの生命保険会社が販売する医療保険では類似の商品はないため、比較は困難だが、たとえば、特定疾病を手厚く保障するという文脈から、既存のがん保険との比較なら可能ではないか。多くのがん保険には、がんになった時点で一括して給付金を受け取れる「診断給付金」という保障があり、今やがん保険の"代名詞"と言えるほど浸透している。がんの治療にかかるおカネには個人差はあるが、自己負担額の平均で100万円前後というデータがあり、診断給付金を50万〜100万円に設定している生命保険会社が多い。

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