日揮、アルジェリア生存者の証言 丸1日部屋にこもり、顔を隠して逃げた

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翌日17日、朝9時45分ごろ部屋の小窓から外を確認すると、当社のアルジェリア人スタッフが数人いた。話しかけたところ、「安全担当のアルジェリア人スタッフが部屋をノックして確認しているので、それまで部屋で待て」と言われた。

その数分後、その安全担当の(アルジェリア人)スタッフが自分の部屋をノックしてくれ、部屋を開けると、必要最低限の荷物を持つよう指示され、頭にはターバンのようなものを巻かれ、ほかのアルジェリア人スタッフからは、ネックウォーマーで顔を隠すように言われた。

アルジェリア人に助けられた

アルジェリア人スタッフに取り囲まれながらキャンプの外に出て、建設工事の下請けの会社のキャンプに逃げ込み、かくまってもらった。このキャンプに着くと、知り合いのアルジェリア人がいて、部屋の中に入れてくれ、食料と水をくれた。

先ほどの下請け業者の安全担当の人物が警察の車まで走って行き、自分(=証言している日揮社員)の保護を頼んでくれた。その後、近くまで警察の車が来てくれたので、そこまで200メートルぐらい走っていって乗り込んだ。その車でアルジェリア軍のキャンプに連れていかれた。軍のキャンプで水を補給した後、軍のチェックポイントに連れて行かれ、メディカルチェックを受けた後、そこで待機していた。その間、外で武装勢力が攻撃している様子が見えた。

17日午後3時ごろ、同僚の日本人駐在者が車に乗っているのを見つけ、以後は同僚と一緒になって行動した。その後、イナメナスタウンの警察署まで移動し、そこから日本にいる自分の家族に無事を連絡した。その後、顧客のソナトラック社(アルジェリアの国営石油資源公社)のキャンプに連れて行かれ、そこで食事を取ることができた。その日の夜8時、イナメナス空港から飛行機に乗ってアルジェに向かった。

(撮影:尾形 文繁)

渡辺 清治 東洋経済 記者
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