国民投票前夜、英FTは「大戦略」を仕掛けた なんと新規購読者数が600%アップ!

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ソーシャルチャンネルで使用されたクリエイティブはそのあと、顧客獲得チームにも使用された。1日を通じて統一価格や購読へのオファーといった、さまざまなメッセージが試験的に発信された。

「それらは『リアルタイム』で分析され、機会を最大限活用するため、また新規契約客のボリュームと、彼らから得られる生涯価値のバランスがとれるような統一価格と、オファーが適応された」と、彼は付け加える。

同社の代理店であるエッセンス(Essence)とも協力を行った。ペイドメディアマーケティングや新規顧客に向けたプログラマチックディスプレイ広告の提供・分析によって、有効と特定されたペイドサーチのキーとなる語の入札といった分野において、リアルタイムマーケティング努力をさらに強めたのだ。さらに既存の購読契約者に対して、リアルタイムのTwitterフィードを含む、ニュースレターやメールを送るといった、CRM活動を活発化させた。

気合を入れて成すべきこと成す

スレイド氏はフィナンシャル・タイムズが国民投票の週末に、自身のトラフィック記録を塗り替えた理由のひとつとして、多くの人々が国民投票に向けて政治家や複数のメディアによって誤った方向に導かれてしまい、それが結論に悪影響を及ぼしたと感じていたからであると考えている。

「急速に、人々が透明性と信頼できるジャーナリズムを求めているということが、はっきりとわかってきた。だから、サイトのトラフィックが上昇しているのを黙って見ているのではなく、我々のビジネスモデルで責務を果たしたいと思った」と、スレイド氏は語る。

「そのためにはマーケティング部門をニュースルームのように動かすことが、もっともダイナミックな方法だと分かった。何が起きているのか、それに対して何をすればよいのか……気合を入れてなすべき仕事にとりかかることだ」。

Jessica Davies(原文 / 訳:Conyac)、Image via Matt Brown

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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