スタンフォード大教授が巻き起こす、教育革命 学歴は、インターネット大学でも手に入る

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発信はシリコンバレーの中心地から、そして創設したのがスランとなれば、こうした分野に関心のある向きにはとても見過ごすことはできない、すごい機会である。

スタンフォード大生が400位以下!

ウダシティーがどのようにして始まったのかは、非常に興味深い話である。

スタンフォード大学で11年に人工知能のクラスを担当していたスランは、この授業が受講している学部生200人だけにしかオープンにされていないのは残念だと思い、授業内容をインターネットに上げた。教科書や設問、テストなどすべて同じものだ。その200人の学生にもここで同じ内容が勉強できると伝えたのだが、登録したのはたった数人。

Udacityには世界中からアクセスが殺到

ところが、その後、スランがこのオンライン授業のことをここで少し、あそこで少しと広めていくうちに、あっという間に受講者が16万人にも膨れ上がったのだという。

バルト3国のリトアニアからアクセスする生徒だけでも、スタンフォード大学の正規受講生の200人を軽く上回ってしまった。

アクセスする生徒は世界の国々に広がっていて、またボランティアたちが授業を40カ国語以上の言語に翻訳した。しかも、面白いのは、授業を受けたトップ生徒の400位までをオンラインの生徒が占め、401人目にやっとスタンフォード大学の学生がランクインしているという。

今や、恵まれた大学に通う学生だからというだけでは、学習への熱意や能力が測れない時代がやってきたということにほかならない。

スランは、グーグルでの仕事に集中するためにすでにスタンフォード大学での教授職を辞していたが、このオンライン授業での体験を経て、もうスタンフォードのような大学で教壇に立ちたいという気持ちはなくなってしまったという。

「教授としてやってきて、教えることがこれほどのインパクトを持ったことは今までなかった」と彼は語っている。彼がスタンフォード大学で与えられていたのはテニュアーという、いわゆる終身の教授ポストである。アカデミアを目指す人々にとっては、喉から手が出るほど欲しいポストだ。だがスランは、それよりも教育の未来に賭けたいと思ったのである。

ウダシティーの授業は、コンピュータ・サイエンスや物理学などの基礎から始まって、順々に高度なレベルへ進んでいけるように設計されている。最後にテストを受けて、授業修了証書が授与される。アメリカでは全米にある大学のテストセンターでも、修了テストを受けることができる。

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