シェールガス革命で世界は激変する(下) アメリカや日本は復活、世界はデフレに

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それらの新規の大型発電所が動き出せば、アメリカは自国で調達できるシェールガスを使っての安価な電力供給が可能となり、そのアドバンテージを利用して国内産業を再起・再生させることができる。

アメリカは今後5年で約20兆円投資、ウォール街も復活へ

いまアメリカでは製造業を国内に呼び戻し、さらには製造業やガス・インフラを中心とした国内での投資ブームが起こっている。

たとえば、シェールガスの一大産出地であるルイジアナ州では、新たな製鉄所やシェールガスを原料とした化学工場の建設が予定されている。さらには、パイプラインや貯蔵施設の建設が、今後いくつも予定されているのだ。全米におけるシェールガス関連の投資額は、向こう五年間で総額2260億ドル(約20兆円)にも及ぶと見られている。

このような大規模投資は資金の動きを活発化させるため、ウォール街をも復活させる好機となる。ウォール街の経営者たちは、もともときわめてリスク嗜好で新たな産業への投資に積極的な人たちである。政府の金融緩和策で市場に資金があり余っている環境下で、好条件の投資案件が自国で次々と沸き起こっているのである。ウォール街が元気にならないはずがない。

 以上のような動きは、アメリカ経済を成長させ、多くの雇用を生み出すことになろう。大手金融機関シティグループが12年3月に発表したレポートによれば、シェールガス革命は、今後2020年までに最大360万人の雇用を創出し、GDPを最大で3パーセント拡大させる可能性があると推計している。

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