生徒が先生を評価するシステムを導入せよ 藤原和博(その9)

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授業は一コマ当たり1000円

藤原:結局、1000円は諦めて、1000点で評価してもらうことにして、生徒には、あらかじめ朝礼でこう言ったんです。

『君たちはタダで授業を受けていると思っているだろうけど、それは違う。授業一コマ当たり1000円もかかっているんです。だから予習復習を君たちがやれば、2000円、3000円の価値になるし、寝ていたら20円の価値にしかならないよ。すなわち、授業の価値は、「先生の授業の価値×君たちの受ける態度」で決まることになる。先生の授業の価値については今日配るアンケートに1000点満点でつけてもらいます。授業が500円しか価値がないかなと思えば、500点とつけてください』

アンケートの結果は、先ほども言ったように、教師同士の評価とほぼ一致しました。生徒がいい加減につけていないことがよくわかったので、この結果をネットに載せちゃったんです。先生の実名は載せなかったけど、「1年生の数学の授業は何点」というふうに公表したので、保護者はどの先生の評価かがわかるわけ。

渡邉:そうすると、教師の顔が浮かぶわけですね。

藤原:そう、保護者はみんなわかる。ただ、外部の人はわからない。今でも続いているかどうか知らないけれど、これは強烈だったなあ。さらに、こうしたアンケートをとるだけでなく、3年生の生徒全員一人ずつ、校長室で給食を食べながら面談して、授業の評価をヒアリングもしました。

渡邉:生徒からひどい評価を受ける先生もいるんですか?

藤原:最高点を4として、2.5を中間値とすると、2.5を切る人はいました。その人は組合活動に熱心な人で、職員会議でもキャーキャー言う人だったんだけど、「先生、文句を言う前に、まず生徒からの評価を何とか2.5以上に上げましょうね」と言って、頑張ってもらった。その先生の目を見ながら「先生なら、きっとできますよ!」と説得して。

渡邉:一番高い人は4点近くまでいくんですか?

藤原:3.4〜3.6ぐらいまでいく人はいました。結局、評価点というのは、「生徒の生活指導力×授業の学習指導力」だから、その両方の力がある先生は何でもできるんですよ。そういう先生が教務主任だと、マネジメントとしてはとてもラク。

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