焦点は生活保護と地方公務員給与のカット 大詰めの2013年度予算編成

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不正受給問題に端を発する生活保護費の見直しは、子育て世帯などの生活扶助が保護を受けていない低所得世帯の生活費を上回る逆転現象が起きており、自民党も「給付水準の原則1割カット」を政権公約に掲げている。厚生労働省は今後3年間で段階的に最大8%の幅で給付水準を引き下げる案を検討中のもようだ。あとは、自民党の1割削減に難色を示す公明党との与党間調整の落としどころがどうなるかだが、生活保護費の引き下げをめぐっては、約1000億円の公費削減がターゲットになっている。

地方公務員の給与削減は6000億円が目標

歳出削減の点で、さらにインパクトが大きいのが地方公務員の給与削減だ。地方公務員の給与は地方自治体が自主的に決定することが大原則だが、復興財源捻出のために国家公務員の給与を12年度から平均7.8%カットした結果、こちらでも、地方公務員の給与が部分的に国家公務員を上回る逆転現象が起きている。財務省の試算によれば、12年度の公務員給与を国と地方で比較した「ラスパイレス指数」は国を100とした場合、地方が106.9程度と9年ぶりに地方が国を上回り、8割超の自治体で逆転現象が起きているとされる。

 地方公務員給与の削減については、地方自治体が「改革は地方のほうが先行している」「地方交付税を給与と結びつけるのは筋が違う」など、国主導の削減に強く反発しているほか、自民党内にも「地方公務員の給与を下げれば、景気に悪影響が出る」「国際的に比較しても日本の公務員の数は少ない。選挙対策にはなるかもしれないが、(地方公務員の給与削減を含む)公務員の効率化に実質的な意味はない」といった反対意見がある。

ラスパイレス指数は国に有利な結果になるため、指標として不適切との批判も出ており、「給与削減で捻出した財源は減災・防災に回す」「『まず隗より始めよ』ということで、日本を元気にするために、公務員が率先して痛みを負うことの大義を共有してほしい」(新藤義孝総務相)といった形に論拠は軌道修正されつつある。行政改革に努力してきた自治体に対しては、防災事業や地域活性化に向けた新たな財政措置を手当てするとのバーター条件も出てきた。 

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