わが子を英語ができるように育てるには(下) 大学入試と英語習得を両立させる方法

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英文読解のハイブリッド学習法

さて、学習法ですが、基本は「読解・リスニング・文法・暗唱・音読」の融合です。私は言語学習の基本は音を使った認識や発話の自動化だと思っています。大学受験の中心となる読解の学習をベースにこれらを実践し、さらに読解とのシナジー効果をねらっていくわけです。

精読学習では、1つのものを徹底的に理解できるまで読み込んでいきます。英文を声に出している最中に、その意味が英文ですっと入ってくるようになるまで繰り返すことが大切です。もちろん、ネイティブ音声がついているものを使い、ネイティブをまねた、リピーティングやシャドウイングを何度もくりかえし、スラスラ英語のまま内容がわかるところまでもっていきます。これはリスニングの勉強でもあります。

また、音読をする際には、一文を音読したあとに、それを暗唱し意味を考えながら唱えるという「暗唱音読」も推奨します。これは、将来、論理的なプレゼンをするための素地作りになります。さらに、英作文の基礎訓練になります。文法学習で学んだ短文を暗唱するという形でも実践すべきでしょう。

精読学習というと、これまでは音を無視することが多かったのですが、本来の英語力を錬成するためには音との融合が重要です。理解するだけではなく、耳や口を動かして英語の認知を自動化してしまう事を重視してください。

多読学習は、精読よりも数ランク易しい英文をたくさん読んでいきます。おもしろい読み物を選んで、わからなくても立ち止まらずに読み飛ばしていく感覚で、できるだけ多くの英文に触れるようにします。純粋に読書として読み進めるわけです。もちろん、その音声素材を耳で聞いて分かるレベルの簡単な英語であれば、多聴として楽しむ事もできます。このような多読や多聴の訓練は英語の反射神経を磨くのに役立ちます。特にセンター試験や実用系の資格試験ではこの反射神経とスピードが重要となります。数ランク下のレベルの素材を使う事が多読・多聴のポイントです。

精読と多読はどちらも大切です。そして、ポイントは音を重視する事です。スマートフォンやオーディオプレーヤー、パソコンなどを活用して、耳から英語をインプットしていくことです。精読と多読にリスニングを組み合わせた訓練によって圧倒的な読解力が身につけば、日本の大学受験は、かなり楽にクリアできるはずです。

RとLを大学受験に向けて正しい方法で鍛えておくと、そのあとのSやWの2技能にも転用しやすくなります。なぜならインプットであるRとLは、SWの技能の基盤づくりになっているからです。

受験が近づくにつれ、机でGやTばかり勉強する周囲の流れに乗せずに、音声を活用したRとLでダイレクトに英語を理解させる学習を継続させるのは、とても大変なことだと思います。

幸運にも、音読を用いてLRを強化させる英語の先生に巡り会うケースもあるでしょうが、皆がそのような幸運に恵まれるとは限りません。家庭主導でこれが行えるかどうかで、数年後に本当に使える英語が獲得できるかが大きく左右されるはずです。

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