親の離婚を子が「消化する」ための絶対条件 面会交流の現場で置き去りにされがちな視点

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いいことずくめに思える「第三者を介した面会交流」ですが、現実はそうもいきません
離婚や別居によって、離れて暮らすことになった親と子が、直接対面してふれあう「面会交流」。前回記事では、このところ面会交流を取り巻く環境が様変わりしていることと、その背景について紹介しました。
親にとっても子にとっても重要な機会である面会交流ですが、よいことばかりでないのも現実です。面会交流の仲介や支援を行うNPO法人「ウィーズ」で起った事例をもとに、これからの課題について考えてみたいと思います。
前回記事:離婚後の「子の幸せ」を"第三者"に頼る親たち

 

前回も書いたとおり、離婚する夫婦の増加や少子化、核家族化の影響で「面会交流を仲介、支援してほしい」という第三者機関への依頼は急増しています。「ウィーズ」は今、人手が足りないほど大忙しです。

実際に受ける依頼の傾向は以下のようなものだそうです。

第三者が入っても、こじれ続けるケースがある

■依頼者:子どもと同居する親、別居する親が、ほぼ1:1。前者は母親からの依頼が多く、「調停が成立して、面会交流をさせなければならないが、元夫と直接やり取りしたくないから仲介してほしい」など。後者は父親からの依頼が多く、「子どもに会いたいが、DVで元妻から訴えられ離婚し、面会交流は第三者機関を通すよう裁判所の指示を受けた」など。

■面会交流の頻度や時間、過ごし方:2カ月に1回というペースが多く、1回につき1時間ほど。幼い子は、公園で遊んだり、一緒に動物園に行ったりする。小・中学生くらいになると、ファミレスでごはんを食べたり、カラオケをしたり。子どもが2、3人いる場合は一気に会うことも多い。

■料金:「ウィーズ」が受け取る「支援金」は、1時間あたり1万円といったところ。父母折半のケースが多い。

離婚後の夫婦のいざこざを回避できる手段として、いいことずくめに思える「第三者を介した面会交流」。ただ、すべてがスムーズに、問題なく行われているかというと、そうではありません。実際に「ウィーズ」が担当した事例を見ていきたいと思います。

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