「ソブリン」にもメス 進む市場浄化作戦

ペイントハウスの背後で蠢いた「仕手筋」に当局が狙いを定めた。西田晴夫被告、大場武生被告…。市場のハイエナに対する包囲網は狭まるが、ネットワーク壊滅は遠い。(『週刊東洋経済』12月1日号より)

 投資顧問会社の「ソブリンアセットマネジメントジャパン」が証券取引等監視委員会による家宅捜索を受けていたことが明らかになった。ペイントハウス株をめぐる不自然な値動きなどが容疑となっている模様だ。ソブリン社とつながりが深い経営者の関係先などにも監視委は踏み込んだとされ、強制捜査は広範囲に及んだものとみられる。

 ソブリン社は1999年に設立され、資本金1200万円。現在、東京・大手町のレンタルオフィスに事務所を構えるが、実態については謎が多い。かつて役員に名前を連ねていた人物も「取締役会が開かれたことはなく、何をしているのかわからなかった」と話す。事務所には男女1人ずつがいたが、顧客が出入りする姿は見たことがなかったという。

 代表取締役を務める阪中彰夫氏は野村証券や外資系証券会社を渡り歩いた人物。数年前に元麻布の高級マンションを購入、別のフロアにも月額300万円で知人用の部屋を借り上げるなど、一時はずいぶんと羽振りがよかったようだ。が、「仕手筋」として名前が知られるようになったのは、むしろその後、苦しい立場に追い込まれてからだ。

 つまずきの最初は、後に架空増資が刑事事件化した丸石自転車。同社は病院乗っ取りグループなどさまざまな勢力に蹂躙された末、2004年9月に親会社の持ち株会社が上場廃止となり、直後に倒産した。このとき、“ババ”をつかんだ格好となったのが阪中氏とされる。同時期に手掛け始めたサンライズテクノロジーも今年6月には適時開示に問題があるとして、上場廃止に追い込まれた。

 容疑の舞台となっているペイントハウスも同じような道をたどった。不振に陥ったペイント社の経営にソブリン社が表立って関与しだしたのは05年2月。債権債務処理で合意書を締結したのだ。ペイント社では前年11月、創業者と英領ヴァージン諸島(BVI)に籍を置く正体不明の法人が株式信託設定契約を締結、株価が急落を始めるなど、異変が進行していた。ソブリン社の関与後も経営は混迷、昨年7月には債務超過を理由に上場廃止に追い込まれた。

 ペイント社とサンライズ社にとって上場廃止は避けたい事態だった。証券取引所を相手取って法廷闘争を始めるという異例の抵抗がそれを物語る。一方で、なりふり構わず事業の「疎開」を繰り返した。システム開発会社のサンライズ社がなぜか丸石の自転車事業を倒産直前に買収、ペイント社の上場廃止後にはその塗装事業まで譲り受けたのである。

 1株1円という破格の割当価額による増資など「ソブリン銘柄」は不可解な新株発行を乱発してきた。引受先に決まって登場するのは、かつてソブリン社と同じ住所にあった「ロータス投資事業組合」や、「カランバーグ」という名義人が代表を務めるBVI籍の法人。それらも含めた不透明な関係について、当局による全容解明が待たれる。

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