大型経済対策は本当に必要だったのか

総額13.1兆円の緊急経済対策に潜む問題点

安倍新政権は1月11日に「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を閣議決定した。補正予算の規模は13.1兆円と麻生政権下の2009年度第1次補正予算に次ぐ過去2番目の大きさとなる。

今回の対策は規模の大きさに加え、即効性の高い公共事業に重点が置かれていることもあり、一定の景気押し上げ効果は期待できるが、その一方で問題も少なくない。このことは前回のコラムでも簡単に触れたが、改めて今回の経済対策の問題点について論じることにする。

タイミングは適切だったのか

最初の問題は、そもそも大型の経済対策が必要なタイミングだったのかということだ。

日本経済は、円高、海外経済の減速に伴う輸出の減少を主因として12年春頃をピークに後退局面入りしたとみられる。しかし、景気との連動性が高い鉱工業生産指数は、12年11月は前月比マイナス1.4%の低下となったものの、企業の生産計画を表す製造工業生産予測指数は12月が前月比プラス6.7%、13年1月が同2.4%の高い伸びとなっている。景気は12年中に底打ちした可能性が高くなっており、景気の悪化に歯止めをかけるという意味での経済対策の必要性は薄れている。

過去の経済対策と景気循環の関係を見てみると、景気後退が終了した後に経済対策が実施されることも少なくなかった。たとえば、麻生政権下で策定された過去最大規模の09年度補正予算が成立したのは09年5月だったが、後になって振り返ってみれば、景気はその2カ月前の3月に底打ちしていた。

過去の経済対策が必ずしも適切なタイミングで実施されてこなかった原因としては、景気判断に用いられる経済統計はあくまでも過去の経済状況を反映したものであるため、景気の現状認識をリアルタイムで正確に行うことが難しいことが挙げられる。

また、政策の決定から実施までに一定の時間を要することも政策実行の遅れにつながっている。こうしたタイムラグを完全になくすことは不可能であるため、ある程度景気の先行きを見通した上で政策を策定することが求められる。

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