シャープの“SOS"、応えるレノボの皮算用

得意のパソコン失速で、迫られる転換

レノボの楊元慶CEOは、パソコンのブランド力を強みにスマホやタブレットなどを浸透させる「PCプラス」戦略を掲げている。テレビ事業もこの「PCプラス」戦略の一部。すでにアンドロイドOSを搭載したインターネット接続型のスマートテレビの販売に乗り出しており、この製品群の開発・販売を強化する上でシャープと組むことは一定の価値があるのだ。

トップレースはカウントダウン

レノボをテレビに駆り立てるのは、市場環境の変化だけではない。レノボは独立した企業ではなく、聯想控股(レノボ・ホールディングス)に株式の3割超を握られたいち子会社だ。そしてグループ全体で目下最大の焦点となっているのは、創業者である柳伝志・ホールディングス董事長(68歳)が誰に経営のバトンを渡すか、だ。

レノボの楊CEOはこのトップレースの候補ではあるが、実は本命ではない。より有力なのは、ホールディングスの朱立南董事だ。朱董事は楊CEOと同じ1989年にレノボ入りしたいわば同期。楊CEOが祖業のパソコン事業ひと筋であるのとは異なり、00年代にベンチャーキャピタルなどの投資事業を立ち上げ、グループの多角化に大きな貢献を果たした。海外でこそ知名度の低い朱氏だが、柳董事長に次ぐホールディングスのナンバー2として中国の主要経営者に数えられている。

柳董事長は従来から、14~16年にホールディングス全体を上場させる計画を明らかにしており、トップ層人事もこの前後に行われると目されている。ホールディングス全体が急速にコングロマリット化する中、レノボの楊CEOにとっては上場までに単純なパソコンメーカーから脱却できなければ、ポスト柳はおろか上場後のホールディングスで主要ポストを獲得することも難しくなる。

こういった流れの中、レノボは近年、ドイツの家電小売業などパソコン以外の分野でもM&Aを積極化しており、シャープのテレビ工場買収案もその一環といえる。だがシャープというテレビメーカーにとってすら「お荷物」となった工場を手にすることにどれだけの投資価値があるかは、まったく未知数だ。

(撮影:尾形 文繁)

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