政界渡り鳥「小池都知事」の可能性はあるのか 政治的空白を突いた出馬表明の行方

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「有力な候補者が決まらないという政治的空白に、一気に自分を押し込んでくる。そして自分の存在を表に出す一方で、桜井氏を消してしまった。やはり小池氏の嗅覚は超人的だ」。

そのセンスとスピード感には、誰もが驚嘆するばかりだ。

“政界渡り鳥”と揶揄されてきた小池氏の生命力は極めて強い。細川護煕氏、小沢一郎氏、森喜朗氏、さらに小泉純一郎氏といった“時の最高権力”の側に常に寄り添い、「クールビズ」など斬新なアイデアを次々と実現。まさに“時代”を作ってきたといえる。

安倍首相は石破茂氏を応援した小池氏を排除

ただし“輝く女性の活用”を掲げた第2次安倍政権では、小池氏は活躍の場を見いだせないでいた。2012年9月の自民党総裁選で石破茂氏を応援した小池氏を、安倍晋三首相は許していないと言われている。

だがそれでおさまる小池氏ではない。6月17日に開かれた東京都連の会合ではそのそぶりすら見せなかったものの、知事選出馬の決意はすでに固めていたようだ。小池氏は6月8日に開かれた「NPO法人としまユネスコ協会」の総会に出席し、参加者にこう明かしている。「私も次のことを考えている」。

さらに豊島区議の一部から小池氏支持の署名を集めていた。その背景について、自民党関係者はこう述べている。

「実は都内の若手地方議員の中には、現在の都連の執行部に対して不満を抱く者がいる。その原因は、自民党が下野する以前から変わらない石原伸晃会長・内田茂幹事長体制だ。この度、桜井氏に出馬を説得できなかったことでわかるように、石原会長はリーダーシップがなく傀儡にすぎない。しかもこの間の総会では『前の選挙で勝ったから』という理由で人事は変わらなかった。もうなんと言ったらいいか……」

小池氏はこうした鬱憤をうまくくみ取ろうとしているわけだ。

「公明党対策」も早々と行っている。都知事選で当選するには200万票以上必要だが、自民党だけでは獲得することはできず、70万票から80万票あると言われる公明票が不可欠となる。そこで会見に先立つ6月26日、小池氏は参院選で公明党が最も苦戦する兵庫選挙区に入り、伊藤孝江候補を応援した。

かつては兵庫6区を地元としていた小池氏だが、11年前に東京10区に地盤を移している。自民党は伊藤氏を推薦しているが、公明党と次期衆院選の選挙協力が絡んでくる県内の自民党の衆院議員は別として、選挙区外から幹部以外の他党関係者が応援に入るのは異例といえる。

しかも6月中旬に、小池氏は兵庫6区にあるかつての自分の後援企業のリストを公明党に提出済み。公明党都議経由というのがいかにも面妖だ。

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