似鳥会長が謙遜?「イオンを抜いてびっくり」 「毛沢東作戦」で快進撃、ニトリ新宿に出店へ

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家具においても、自社開発商品であるソファ「Nポケット」シリーズやベッドマットレスシリーズ「Nスリープ」が好調に推移している。

また出店範囲も広げている。足元では郊外ロードサイドから都市部への出店を加速。「都内への出店は今年、来年と目白押しになる。それを毛沢東作戦という人もいるが、うまいこと言うなと思う。田舎の農村から攻めて最後は都心に向かう」と似鳥会長は話す。

銀座店オープンで挨拶する似鳥会長。次は新宿への進出を予定している(撮影:今井康一)

実際、今後は7月に大田区の東糀谷と山王、墨田区の錦糸町に出すほか、足立区梅島、世田谷区玉川台、狛江市などでも出店計画がある。さらに百貨店への出店も増えている。9月に横浜・港南台の高島屋に初出店するほか、12月には紀伊国屋書店跡地となる新宿タカシマヤタイムズスクエア南館という都心一等地にも出店する計画だ。

店舗開発担当の須藤文弘専務は「もともと(2015年4月に百貨店初の出店だった)プランタン銀座店は実験店として出したので売れなくてもいい店だったが、非常に売れた。ニトリの空白地である都心部のキャパシティはまだある。いろいろな百貨店と関東、関西で検討している」という。

「値上げは今後一切ない」と宣言

懸念材料だった為替も円高に向きつつあり、フォローの風が吹いている。ニトリは自社で製造を手がけ、その多くを中国やベトナムから日本に輸入している。1円の円安は営業利益を16億円押し下げる。今期は1ドル=108円程度でほぼ予約を完了、「来期も103円前半で為替予約しており手当て済み」(財務経理部)という。

今後の価格政策について似鳥会長は、「円高が続くようなら値下げも含めて検討する。値上げは今後一切ない」とし、今後も「お、ねだん以上。」を続けることを宣言した。

今期の業績予想に関しては、期初に発表した売上高5000億円(前期比9.1%増)、営業利益790億円(同8.2%増)を据え置いた。だが第1四半期決算は想定を上回って着地。白井俊之社長も「状況を見て、業績予想の変更を検討していく」と話した。はたしてニトリの勢いはいつまで続くのか。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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