インドでGショックがバカ売れする理由 売上拡大するカシオ そのマネジメントとは?

拡大
縮小

――「現地法人の意見を本社が採用して改善する」というのは簡単なようで難しいと思います。できても相当な時間がかかり、時機を逸していることが少なくありません。

デジタルをキーワードにしたさまざまな商品ラインナップを持つ当社では、それぞれの商品ごとに売上の拡大が求められています。インド人のパワーを引き出し、「楽器」は電子キーボードを中心に、「計算機」は販売エリアを拡大し、「時計」は現地に適した売り場作りを行い、拡大を実現させていきます。

日本人駐在員は、インド人に直接指示しない

――人材をマネジメントするうえで、注意している点は?

核となる人材は定着していますが、若手はやはり転職していきます。日本人駐在員が現場のインド人社員に直接指示したりすることはありません。あくまで中間管理職との意思疎通をしっかり図り、インド人管理職にワーカーのマネジメントを任せています。

―モチベーション対策では何かしていますか?

海外出張をモチベーションアップに使っています。彼らにとっては、日本を含む海外への出張 というのは、ものすごい勲章になります。

――インド人のよい点は?

明るい。真面目で向上心が強い。外向き志向が強い。欲求がわかりやすい、ですね。今何が欲しいか質問をすると、すぐに答えが返ってきます。また、優秀な人が多いと思います。理系大学出身者にもかかわらず、通信制でMBAをパッと取ってしまいます。

――優秀な人はどこの国にもいますが、日本との違いは、「優秀な人の姿勢や将来に対する考え方」ですね。やはり、インドは好きですか?

日本に帰国するといろいろと違和感を感じてしまうようになってしまいました。最近はデリーに帰るとホッとします。

――今後の抱負は?

「4年以内に売上げ3倍」「営業エリアの拡大」「本社を本気にさせる情報発信」「ホームランを打てなくてもヒットを打つ」でしょうか。

須貝 信一 ネクストマーケット・リサーチ代表

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すがい しんいち

1973年生まれ。法政大学英文科卒業。外資系IT企業、インド関連コンサルティング会社にて取締役として事業の立ち上げ等を経て、現在は(株)ネクストマーケット・リサーチ代表取締役。著書に『インドでつくる、売る(実業之日本社)』『インド財閥のすべて(平凡社)』等。中小企業診断士。ネクストマーケット・リサーチはインド、南アジア新興国の経済情報の提供のほか、進出支援コンサルティング、リサーチ、各種研修などを行っている。

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