「移民問題」は米国の未来を大きく変える

約30年後、白人は少数派になっている

(写真:Andrea Izzotti/PIXTA)

とどまるところを知らない中南米からの米国移民。『移民大国アメリカ』を書いた成蹊大学法学部の西山隆行教授は、移民問題を切り口にすれば、米国の政治の動きがよくわかると語る。

──米国には1100万人を超える不法滞在者がいるのですか。

米国には毎年100万人ほどの合法移民が入国している。同時に1990年代以降、中南米出身の移民が急増し不法滞在にも拍車がかかった。60年に中南米出身者は人口の3.5%にすぎなかったが、2011年の段階では17%になっており、50年には29%にまで増えると予想されている。この予測では47年には(中南米系を除いた)白人の比率が人口の過半数を割るとみられている。

──もうマイノリティ集団とはいえない?

次期大統領の候補者選びで共和党候補の争いに如実に反映している。ドナルド・トランプ氏と最後まで競ったのがマルコ・ルビオ氏とテッド・クルーズ氏。両者とも中南米系の人。党の主流派が期待していたブッシュ家のジェブ・ブッシュ氏は夫人がメキシコ人で本人も流暢なスペイン語を話す。このほか、もう一人有力だったベン・カーソン氏は黒人でもあったし。

マイノリティと移民問題が2大政党を変える

──共和党は白人の政党、民主党はマイノリティが支持というイメージが強いですが。

基本的にはそれで間違いはないが、共に変化を模索している。共和党は投票してくれる人の9割以上が白人で、マイノリティの支持が弱い。逆に民主党は白人の票が取りにくくなっている。白人ブルーカラーが主として黒人の福祉受給に反発して、支持政党を民主党から共和党に変えるようになった。オバマ大統領も就任前から伝統的な米国の価値観を守ると強調してきた。これはマイノリティの政党から脱して白人からも支持を得たい気持ちの表れだ。

──共和党はトランプ候補になり、話がややこしくなった?

トランプ氏は白人のバックラッシュ(反発的行動)に乗っているが、共和党が未来永劫、「白人の政党」であり続けるとは思えない。すでに米国では数年前から新生児の数で白人が過半数を割っている。今後、両党ともこれまで重視してこなかった政策に重要な位置づけを与える可能性はある。つまりマイノリティや移民問題によって米国の2大政党制の中身が変わることになる。

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