アップルが建設中の新社屋はこうなっている 最新のAppleStoreは、まさに"アップル製品"

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その答えは、モバイルデバイスのサポートにテーブルは必要ない、というものだった。アップルの主力製品はiPhoneとiPadで、圧倒的にモバイルデバイスのサポートが多いという。

その際、対面でテーブルを挟むより、店員と並んで座ったほうが、モバイルデバイスのサポートに向いているからだ。

緑の空間が、顧客との接点に

木陰でリラックスしてサポートを受ける体験が、コンシューマーエレクトロニクス製品の世界に持ち込まれるとは驚きだった。しかし製品の使い勝手からサポートに至るまで、「体験」を作り出そうと取り組むアップルの熟慮の結果と聞くと、納得がいく。

Genius Groveは、モバイルデバイスの新しいサポートという体験を作り出した。そのほかにも、体験を中心とした設計が光るのが、Apple Union Squareの特徴だ。

まず1F部分の壁は、Avenueと呼ばれるショッピングスペースで、純正アクセサリがカラーコーディネートされて配置される壁がある。iPhoneやiPadのケース、そしてApple Watchのバンドが、異なる色で並べられており、色を合わせるだけではない楽しみ方を提案してくれる。

また、アップル製品とサードパーティーのアクセサリを展示しているスペースでは、現在はスケッチとカメラ撮影という2つのテーマが選ばれており、どのように製品を組み合わせて使えばいいのかを知ることができ、そのまま購入できる。

2Fに上がると、フォーラムと呼ばれる巨大スクリーンのスペースが広がる。横幅11メートル、6K解像度を誇るディスプレーには、サンフランシスコの美しい風景ビデオが映しだされながら、製品の写真や、Apple Union Squareでのイベント情報が紹介されていた。

イベントはAvenueの展示と連動していた。この巨大な画面とiPad Pro、Apple Pencilを使って、30分でアーティストがその場で作品を作り上げるLive Artが週末に繰り広げられる。地元の写真加工アプリVSCOとカメラマンがテクニックを教え、ユニオンスクエア周辺で実践するワークショップ、フォトウォークの実施も行われている。

ワークショップはステージを設けず、講師と聴衆が同じ目線で話を聞くことができるよう工夫されているほか、イベントでは必ず参加者が作品を作る時間を設けるようにするなど、体験重視の運営が行われているのも特徴的だった。

地球環境と持続性と、新しい体験の両立

市民へのプレゼントという位置付けのパブリックスペース、Plaza。巨大な緑の壁に面した、Wi-Fi完備の憩いの場となっている

地域環境との一体化を目指しているApple Union Square。店舗の裏側にはPlazaと呼ばれるパブリックスペースが用意された。

店内と同じようにイチジクの木が配置され、テーブルに座ればWi-Fiが24時間無料で使える。アップルによると、Plazaは「市民へのプレゼント」との位置付けだという。

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