スタジオアリス、大人向け写真館参入の意外 少子化だけが理由じゃない

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背景にあるのは、大人向け写真の中心であるブライダルのトレンド変化だ。近年のブライダルにおいては、高額なおカネをかけて挙式を行う層と、あまりおカネをかけないで簡素にすませる層への2極分化がみられる。ただ、あまり挙式におカネをかけない場合でも、「写真だけは今までの台紙に貼ったようなものでは飽き足らず、少し贅沢をしたいという方が多くなっており、中には写真だけの結婚式も増えている」(スタジオアリスの山本浩子・取締役新規事業部長)。

この変化はデータによっても裏付けられる。リクルートが2011年に行った「ゼクシィ結婚トレンド調査」によると、結婚式当日とは別に、改めて記念撮影を行う“別撮り”の実施率は、2004年の19.4%から2011年には33.4%にまで増加している。

海外の結婚式はむしろ別撮りが当たり前

日本の周辺の中国や韓国、台湾などでは、結婚式の写真はむしろ別撮り、前撮りが普通という。日本においても、写真を気兼ねなく撮ったり撮られたりして楽しむ“プリクラ世代”(1977~86年生まれ)が結婚適齢期を迎えており、別撮りに対するニーズは今後も堅調推移が見込まれる。

大人向け写真事業では、もちろん先行者も存在するが、伝統的な写真館が中心であり、スタジオ設備などを整えて、本格的にPR展開をしているプレイヤーはまだ少数派。スタジオアリスとしては、1992年に子供向け写真館1号店をオープンして20年を過ぎ、子供向け写真で撮影経験のある世代がこれから結婚適齢期に向かうこともあり、事業参入のタイミングと判断した。

ブライダルフォトの料金は9万9800円から。中心価格帯は15万8000円で、このプランには、アルバム、マガジン、ジャーナルのほか、CDデータや選択商品(ストーリーカード、台紙、スタンドパネルの中から)が加わる。

通常、写真館では、新郎新婦以外の撮影や新作・人気衣装の利用、かつらなどはオプション料金として扱われることが多いが、すべてのプランで新郎新婦を含めて6人までの撮影が可能であり、全員の衣装、ヘアメイク、小物などもセット料金に組み込まれている。山本新規事業部長は「この商品サービス、品質でこの価格帯はリーズナブルだと絶対の自信を持っている」という。

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