映画だからできる、ギリギリのこと 「ストロベリーナイト」佐藤祐市監督に聞く

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続編はあるのか?

――2012年11月には、姫川玲子シリーズ最新刊『ブルーマーダー』も発売されました。本作がヒットすれば当然、続編の声も出てくるとは思いますが。

佐藤祐市(さとう・ゆういち)
映画監督
東京都生まれ。共同テレビジョン所属。「将太の寿司」「僕の生きる道」「大奥」「WATER BOYS」など数多くのヒットドラマを演出。主な映画作品として『シムソンズ』『守護天使』など。2007年の映画『キサラギ』では、第50回ブルーリボン賞・作品賞、第31回日本アカデミー賞優秀作品賞、優秀監督賞などを受賞している。

正直言って今はあんまり考えていません。ただ、映画の後のエピソードとして、映画公開日の26日の夜9時からは「ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン」と題したスピンオフドラマが放送されます。これは、姫川の話と、勝俣(武田鉄矢)、菊田(西島秀俊)、葉山(小出恵介)のそれぞれが主役の話と、日下(遠藤憲一)と井岡(生瀬勝久)が2人で動く話と5つのエピソードが登場するドラマとなる予定です。

そのドラマでも、所轄に行った姫川が、やっぱり戦っているわけですよ。所轄で歯を食い縛っている姫川を見ていると、撮っているときから泣けてきてしょうがない。多分、お客さんにとってはそんなに泣くようなシーンじゃないと思うのですが。

でも姫川っていうのを3年近く見てきた僕にとって、ずっと歯を食い縛って歩いてきた彼女が、ふっと力抜いて座る瞬間などを見ると、何かすごい寂しさや、可哀相に思う気持ちが湧き起こってくる。姫川玲子はこれから先も、きっとこれまでと同じように歯を食いしばって男社会の中で戦いながらずっと生きてくんだろうと思ったら、とにかく泣けてきた。とにかく姫川玲子には愛着がありますね。

――やはりそれは竹内さんが、姫川玲子というキャラクターをそこまで作りあげたのも大きいのでは?

そうですね。竹内さんの努力ももちろんある。それに加えて(映画の原作となった)『インビジブルレイン』もあったから、必然的にそうなったということだと思います。

ただ、スピンオフドラマも作り、映画も完成した今、僕らの中ではここでひと区切りついたという気持ちはあります。もし何年かして、また機が熟した時に、それでもお客さんがまた観たいと言ってくれて、さらにいろんなことがうまく進めば、もしかしたらまたやるということはあるかもしれないですけど。

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