映画だからできる、ギリギリのこと 「ストロベリーナイト」佐藤祐市監督に聞く

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放送倫理なども含めて「これはいいの?」と、フジテレビのコンプライアンスを扱う部署とも相談しながら、映像を見せては「これはもうちょっと、こうなりませんか?」というような形でフィードバックを受けて。さらに直してはまた見せるというやり取りを何回も繰り返した。

この「ストロベリーナイト」という原作自体が、単純な殺人事件ではなく、もっとその裏にあるドロドロした汚いものをさらけ出している。だからそれをどこまでテレビの映像として見せられるのか。それが最初からの課題でした。

人間のドロドロした部分を描く

――原作を読んだ印象は?

とにかくエグい(笑)。人間のドロドロした部分を描き出している。事件の根底には、貧乏や暴力、性的虐待といった、ひどい環境があって、そういう所にいたからこそ、その事件を引き起こす人間が生まれてくるんだと。したがって、テレビだからといって、そこをソフトにやってしまったら何にもならない。人間がそういう汚いものも内包しているのだから、それはきちんと描かなければいけない。

――映画であれば、表現できないという枠がある程度取り払われるので、もっとエグさを出せるように思えるのですが。

映画版は、エグいことをやるよりも、連ドラでは描けなかった姫川という女性刑事のダークサイドを描きたかった。彼女の陰と陽の面がくっきりと現れてきて、姫川という人間の深みが増せばいいかなと。そこに挑戦したという感じですね。

(C)2013 フジテレビジョン 東宝

やはりここまでスペシャル、連ドラと積み重ねてきたからこそ、ここまで描けたと言える。よくぞここまで来れたな、と。最初に言ったことが現実になって、映画になって。本当にもう感無量です。もう、みなさんに感謝という感じですよ

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