日本を知らない“中国新世代”がやってくる 日本はもはや、「善」でも「悪」でもない?

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メイド・イン・ジャパンの威光は、どこへ?

中国では今、スマートフォンが一気に普及している。調査会社IDCの発表によれば、2013年の中国向け携帯電話の出荷台数は3億8000万台となる見通しで、そのうち3億台がスマートフォンになるという。また今年、スマートフォンユーザーは、全13億人超の人口のうちの5億人にまで増えると予測されている。

中国人のスマートフォンの主な利用用途は、マイクロブログとチャットなどを利用したコミュニケーションや、ゲームなどの娯楽である。

「Angry Birds」という、フィンランドRovio社のスマートフォン向けゲームが中国でブレイクし、既存のゲームユーザーに加え、中高年や子供にも人気となった。

駅の待合室でタブレットを使いこなす中高年。遊んでいるのは中国のゲーム?

最近70后、80后の世代が自分の親や子供に、スマートフォンやタブレットを渡してゲームをさせる姿を、空港や駅、列車内などでよく見かける。彼らが遊ぶゲームに、日本のゲームはない。

現在20代の80后、ないしは30代の70后の実家や親族の家には、数年から十数年は使っているだろう日系メーカーの洗濯機、冷蔵庫、DVDプレーヤー、テレビが現役で稼働している。彼らは実家で生活していた時代、日本の家電に囲まれて育った。

だが今、家電製品ではハイアールが台頭。白物家電においてもAV家電においても、中国人が自国メーカーの製品に躊躇することはなくなった。

中国製も、壊れなくなった

かつて中国人が持っていた「中国製品=すぐ壊れる」という図式は、「中国製品=壊れる心配はなく、最低限の機能はそろっている製品」「外国製品=性能がいい製品」に変わった。今の子供たちは中国メーカーの家電に、自然と囲まれて育っている。

アニメにおいても、メイドインジャパンの威光は今や昔。今でも青少年向けのジャンルでこそ日本のアニメが人気だが、子供向けアニメでは、「喜羊羊与灰太狼」をはじめとした中国のアニメがヒットしている。

中国の書店では、中国産アニメがたくさん売られている

かつて人気だったドラえもんなど、日本のアニメの存在感は低下。子供向けキャラクターということでは、ベネッセの中国版こどもちゃれんじ人気で、「しまじろう(巧虎)」が健闘しているのが目立っているくらいだ。

車にしても同じようなことが言える。日本車をあまり見かけない北京に対し、日本車がよく使われている内陸省など地域差はあるが、反日デモの影響も含め以前と比べて日本車の勢いは衰えている。

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