スバル、HV成功のカギ握るトヨタの後ろ盾 水平対向エンジンの4WDモデルが13年内登場か

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エンジンとモーターを併用して走るハイブリッド自動車(HV)。目下、日本の乗用車市場におけるエコカーの代表選手だ。「プリウス」で先鞭をつけ、技術力の向上と車種の拡充で独走するトヨタ自動車を、ホンダや日産自動車などの競合メーカーが追う展開となっている。この市場に、また新たなプレーヤーが参入する。「スバル」の車名ブランドで知られる富士重工業である。

富士重の吉永泰之社長は1月15日、東京都内で会見を開き、2013年中に同社初のHVを投入することを明らかにした。明確な投入時期や車種は明かしていないが、まずは13年内に日本で発売。順次、海外へと販売を広げていく方針のようだ。

HVは国内乗用車販売の2割に

1997年に初代「プリウス」が登場してから15年あまり。今や国内の自動車市場は、HVが隆盛を誇っている。自動車業界団体がまとめた2012年の国内乗用車の車名別販売ランキングによると、1位は「プリウス」が31万7675台で首位、2位もトヨタの新型コンパクトHV「アクア」(26万6567台)と、トヨタのHVがトップツーを独占。乗用車全体に占めるHVの比率は、2割程度にまで高まった(11年は同13%程度)。

HVが躍進したのは、エコカー補助金による後押しもあるが、何よりもHVの商品性が評価された側面が大きい。既存の燃料インフラを活用しながら、燃費を大きく伸ばせる点だ。航続可能距離がまだ短く、充電インフラが整っていない電気自動車(EV)とは圧倒的な差をつけ、既存のエンジン車から需要を奪っている。将来の本命とされる「燃料電池車」も普及段階には来ておらず、当面はHVの隆盛が続きそうだ。

トヨタの独走を止めようと、競合も動いている。EV「リーフ」で勝負に出ていた日産自動車も昨年12月、将来のEV普及をにらみつつも、HVへと経営資源をシフトさせ、現在2モデルにとどまるHVを16年までに15車種まで増やす方針を打ち出した。ホンダは今秋、主力のコンパクトカーでヒットモデルである「フィット」の次世代モデルに、従来から燃費を大幅に向上したHV仕様を投入する。

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