専門学校特集

熱き学生が優秀な人材となる場所 ベネッセコーポレーション大場茂氏

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専門学校に、ありきたりな印象をお持ちなら改めるべきだろう。その進化は、ジャンルの多様性、充実した授業内容にあらわれ、生み出される卒業生の専門性の高さは、高い就職率という結果が証明している。
いま、専門学校をとりまく環境はどうなっているのか。そこには本気を見せる学生たちの姿と、企業との良い関係が存在するようだ。 長く学生たちの就職や専門学校を見てきたベネッセコーポレーションの大場茂氏に、現在の専門学校について聞いた。

魅力増す専門学校

高等学校を卒業した直後のいわゆる「新規高卒者」に占める、専門学校進学者の割合はここ数年で増加傾向にあります。平成21年に行われた調査*1では約15%の学生が専門学校に進学しているのに対し、この2,3年は約17%*2の学生が専門学校を卒業後の進路に選択しています。数では約17万人の高卒新卒者が専門学校へ進学していることになります。

人気がある専門学校は、昔も今も「国家資格」が取れる学校。加えて最近ではまったく新しいジャンルなど新しい分野の学校への進学も目立つようになりました。多様な選択肢の中から自分のやりたいことを選ぶことができるのも、専門学校の魅力のひとつと言えます。

(*1文部科学省 平成21年度、*2平成28年度学校基本調査)

プロフェッショナル人材を育成する充実のプログラム

ベネッセコーポレーション 大場茂
進学情報サイト「マナビジョン」で専門学校カテゴリを担当。専門学校および高校での専門学校進路指導などに詳しい。

専門学校の具体的な魅力は、何と言っても実践的なカリキュラムを準備していることです。

学生を教える講師はその道の第一線にいたプロフェッショナルも多く、授業も座学だけでなく、校内や企業での実習を通じて、より実践的なスキルやノウハウを学ぶことができています。加えて実際に「働き始めてからのこと」をより意識したプログラムを組む学校も増えてきています。

例えばデザイナーの学校を卒業し、その職に就いても、はじめからデザインの仕事だけをやらせてもらえるとは限りません。下働きのような期間もあるだろうし、実際に現場で使われているのは教科書に載っているような最新の設備でない可能性もあるわけです。

組織で働くためにはコミュニケーション能力や忍耐力も必要です。ですから専門学校ではあいさつの仕方やマナーまで含めた教育を行うのです。これは大きな特徴で、専門性に加え、こうした「働くための準備」を徹底して教え込むことで、卒業後すぐに即戦力として活躍できる人材を育成しています。こうした点が採用する企業側からも評価されています。

採用企業からも評価の高い専門学校卒業生

企業からよく聞かれる声として「専門学校を卒業した生徒は職業意識が高い」というものが挙げられます。世の中には、何となく入社した人も多くいるでしょう。しかし業界に特化した技能と知識、そして情熱を持った人が多い専門学校生は新入社員として安心感があり、それが企業の評価です。

特に専門性を持つ即戦力が欲しい中小企業などは、採用担当者が学校へ頻繁に顔を出し、今年はどのような学生がいるかを常にチェックしているほどです。採用の際には知識や技能に加え、性格まで含めてニーズに合った人材を確保することができ、企業にとっても学生にとっても、お互いにとって有益なマッチングを行うことができるのです。

社会人の入学者も増加中

近年の目立った動きとして、一度社会人になってから専門学校に入学するケースの増加が挙げられます。

現在、専門学校に通う生徒の数は65万人強。昨今の雇用の流動化に伴い、社会人の間でも資格や専門性を身につけたいという気運が高まりを見せていて、技能や知識を身につけ、キャリアチェンジするというケースも増えてきています。また結婚や子育てによって一度職場を離れた女性が、手に職をつけて復帰するという例も多く見られます。

加えて平成26年に改正された雇用保険法も追風となっています。教育訓練給付金制度の拡充によって、専門学校の一部の課程においても最大48万円まで補助が受けられるようになりました。専門的な技能を持った人材を育成したいという国を挙げての取り組みを受け、今後も社会人の専門学校入学が増えていくことは間違いないでしょう。

基礎学力はおろそかにしないこと

専門学校というと「大学をあきらめた学生の進路」という誤った認識がいまだにあります。そうした世間の見方が変わり、専門学校が正当に評価されることを期待します。

一方で専門学校への進学を考えている生徒には、消極的な理由ではなく明確な目的意識を持って専門学校を選ぶようにして欲しい。そのためには身近な大人から働くとはどういうことか、話を聞いてみるのがいいと思います。

また専門学校に入学してから基礎学力の面で苦労したという話もよく耳にします。ですから最低限、高校生としてやるべきことはしっかりやる。その上で夢に向かって踏み出して欲しいと思います。

 

 

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