「ワンオペを嫌う人の考え方は大きな問題だ」 気鋭の若手経営者が考える「働き方」の未来

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文系と理系についてボーダーレスに、科目の境目を意識せずに体系的に学んで、答えを出せるようにする。今までの知識を持っているのは当たり前。その上で、その知識を全体的にどう使って、「自分自身は何をしたいのか?」ということを、持てる人じゃないと、生き残っていけないと思っています。個人が企業と対等の立場になるために、日本人はもっと高い目線を求められている。

我々はインターネットでビジネスをやっていますけど、求められるスキルはそういう側面が強いんですね。インターネットサービスをつくるためには、ウェブについてはもちろん、開発の言語、プログラム、データベースの構造を知らないといけない。その上で、人の気持ちについて考えたサービス設計をすることが必要です。ウェブサービスをつくるという作業も、そうしたリベラルアーツに近いものが求められているわけですよね。

――そこまで求められるとすると、ロボットや人工知能(AI)によって代替されるのは、事務のようなブルーカラーだけではないことも明らかですね。しかし幻想だけが残っていて、「大学に行ってどこか正社員で就職できれば、あとは大丈夫だ」という意識が、まだ残っている印象もあります。

仰る通りです。私も、ホワイトカラーに関しても、鴻海(ホンハイ)のようなことが起きると思っているんですよね。ブルーカラーが担っていた製造工程は、家内制手工業で、手でつくっていたのですが、これがだんだんオートメーション化されていきました。

ホワイトカラーの産業革命は脅威だ

そして、結局どうなったかというと、中間工程を「外部化しよう」ということになり、鴻海のような、他の企業からエレクトロニクス機器の受託生産を行うEMS(Electronics Manufacturing Service)企業ができたわけですよね。

また、日本のものづくりの中で生き残った会社の一つの典型例は、キーエンスでしょう。自社の生産設備を持たない「ファブレス」で、課題設定に集中している。顧客を見て、どういうプロダクトが必要かということをコミュニケーションして、課題設定をして、どういうものをつくればいいか、設計をするというところまでを自分たちがやると。

ホワイトカラーにおいても、そういう価値を出すことが求められています。メンバーシップ型の人材も、自分のスキルとか、自分の強み・弱みを明確に認識しないと、いわゆるホワイトカラーの産業革命によって、職を奪われてしまいかねないと、非常に危惧していますね。

これからは、答えがないものに対して、人間として「あなた自身の答え」を出すスキルが全ての人に求められていきます。これが、教育から就活に至る、根源的な課題だと思っているんです。

インタビュー後編は、新経連提言でも言及されている「教育改革」について。7月7日(木)の公開予定です。

 

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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