スズキ修会長、責任問う声に「徹底的に残る」 株主も迷う、カリスマ経営者の難しい引き際

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――英国のEU離脱や為替変動による影響は?

岩月隆始常務:ただちに英国がEUを離脱するわけではないので、当面は離脱そのものより、為替変動の影響が大きいと考える。利益面ではインドルピーが0.1円の円高で100億円、ユーロは1円円高で11億円、英国ポンドは1円円高で8000万円、米ドルは1円円高で5億円のマイナス影響がある。特にインドルピーとユーロの変動影響が大きい

対策として、全社的なコストダウンの徹底や海外工場で現地調達率を高めていく。現地工場がない国に対してはインドやハンガリーなど海外生産車を中心に拡販を図る。

6月の軽自動車販売は昨年超過のペース

――燃費不正でスズキの信頼が失われている。今後どのように対策を立てるか。

鈴木修会長:法令に違反した試験方法を行ったことで、お客様の信頼を裏切り、ディーラーさんには大変申し訳ない。生産を続けながら販売させていただく。再発防止が極めて重要。

4月の(スズキの)軽自動車販売は前年比89%、5月は85%だった。6月は28日現在で前年を上回ることが出来た。小型車は4~6月で180%、6月は28日現在で263%だ。

全国47都道府県のディーラー巡りをして、お詫びとともに信頼していただくようにお願いをしている。すでに14県を回り、総会後も北海道、東北を回りたい。これまで回った中では、非常に多くの激励を受けた。なんとか前年を上回る販売をしたいので、ぜひご支援をお願いしたい。

――不正問題はあったが、近年、素晴らしい車を次々と出している。経営面でも過去最高益と最高配当。萎縮することなく、元気に業務を進めていただきたい。今後のことについて教えてほしい。

鈴木俊宏社長:激励の言葉ありがとうございます。感謝申し上げたいと思います。

今回の不正問題について、社員全員が猛反省した上で、一日も早く信頼回復を図る。社員全員が一丸となってその力を発揮できるように、ベクトル合わせの徹底やチーム内の風通しの良さを確保し、スズキらしい商品、お客様の期待を越える商品作りをしていきたい。

4月には行動指針を策定した。一人一人が法令等を遵守すること、率先して行動すること、常に全体最適を意識することなどを謳っている。今後、この行動指針の一層の定着を図っていく。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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