人事部が目覚めれば生産性は「10倍」上がる 八木洋介LIXIL副社長が語るワーク・ルールズ

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八木 洋介(やぎ ようすけ)/1955年京都府生まれ。80年京都大学経済学部卒業、日本鋼管(NKK、現JFEスチール)入社。主に人事分野で経験を積み、92年マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院で修士号を取得。99年ゼネラル・エレクトリック(GE)に入社。GEメディカル・システムズ・アジア、GEマネー・アジアでHRリーダー、日本GEで取締役シニアHRマネジャーとして日本のGEビジネス全体の人事を担当。2012年より現職(人事総務担当)。著書に『戦略人事のビジョン』(共著、光文社新書)。『一橋ビジネスレビュー』2016年夏号のインタビューでも登場(撮影:今井 康一)

――とはいうものの、御社はグローバルで8万人近くの社員がいらっしゃいますよね。企業の規模は関係ないのですか?

そう思いますね。現社長の瀬戸欣哉は、ものすごいアントレプレナーです。彼は、大企業のトップをやったことがないと言われている。けれども、新規事業で新しいことをやってきて、スタートアップで成功してきた、素晴らしいリーダーです。

だとすれば、規模なんて関係ないですよね。だいたい、私自身が、この会社を大きいと思っていません。ちょうど建築中の国立競技場が8万人収容というので、いつも「たかだかスタジアム一杯分じゃないか」と思っています。

たとえば競技場の中で、100メートルを疾走するのを見て、観客はものすごく興奮しますよね。だったら、私たちみたいに世界中の人たちを、快適な設備や建材でハッピーにしようと思っている会社が、どうして8万人をエキサイトさせることができないのか。

――お話を聞いていると、LIXILはもちろんですが、『ワーク・ルールズ!』にあるように、最先端の取組みをしているグーグルもハートが詰まった会社だと思えてきました。

私もそう思いますね。超優秀な人しかいなくて、なおかつそこにハートが入っている。だけど、気をつけなくてはいけないのは、グーグルには超優秀な人材しかいないことです。LIXILは、優秀ではないとは言わないけれど、普通の人の会社なのです。業態もデジタルではなくて、キッチンやドア、タイルや窓など、いろいろなものをきちんと一生懸命に作って、仕事をしている人たちの会社です。

そういう人たちが心をワクワクすることを意識しないといけません。とはいえ、グーグルがやっているからといって、無料で夕食を食べられるカフェスペースを作る、といったことを真似しようとは思っていません。LIXILにはLIXILの「ワクワク」があってしかるべきだと考えています。ただ、グーグルが持っている、人の活力を最大限に引き出そうという発想には大賛成です。

人間の生産性は5倍にも10倍にもなる

――そもそもの本質論ですが、人事の仕事とは何なのでしょうか?

物事を変えていくというのは、人が変わることですよね。人事の仕事は人に寄り添う仕事だからこそ、人事が一番初めに変わらなければいけない。そして、変わりたくない人、抵抗している人に「変わったほうがいいよ」と伝えていくのが私たちの仕事です。

次ページやってやろうという気持ちを引き出すのが人事の仕事
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