厚労省が敗北、医薬品ネット販売裁判の意味 ケンコーコムは事業を即時再開

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そもそも現行の厚生省令は、「ネットは危ない」という厚労省の問題意識のもとでつくられた。ところが、ネット販売の実態や消費者のニーズとはかけ離れていた。つまり、省令の根拠は希薄だったワケだ。

IT・ネット社会に行政は適切に対処できているか

今回の出来事を総括すると、インターネットの登場による社会の変化に、行政側は適切に対処できなかったと結論づけられる。さらに数年前と違い、今は爆発的にスマートフォンが普及。ネットは「いつでもどこでも」つながる時代となり、ますます生活に密着している。IT・ネット社会には次々と新潮流が現れてくるだろう。

厚労省に限らず、行政がIT・ネット関連で新たな規制をかけていくには、その新潮流を頭からはねつけるのではなく、その動きを正しく理解したうえで適切に対処することが求められることを、今回の判決は示している。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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