トヨタ「カローラ」の凋落 12年販売ランキングに映った、“国民車”の今

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昨年よりも順位を落とした要因は、アクアの登場だろう。これまでトヨタのハイブリッド専用車はプリウスだけだったが、小型車分野にアクアが加わって大ヒット。2車種で60万台近くを売り上げ、HVが大躍進した。

かつてトヨタはカローラのランキング1位を確実にするために、あらゆる手を講じていた。ボディタイプにセダン、ワゴン、ミニバン、ハッチバックなどを加え、カローラシリーズとして販売台数を合算。販売現場でも、カローラの1位を守るためのさまざまな販売促進策が採られていた。

だが、プリウスやアクアが販売の中心となった昨年の実績を見るかぎり、トヨタは国内でかつてほどカローラの販売に力を入れる必要がなくなってきているという側面がありそうだ。

「カローラ」もHV仕様追加で巻き返しへ

一方、日本市場ではカローラに固定ファンが多く、世界的には最量販車種の位置づけだ。日本では、今年、カローラにHV仕様の追加が予定されているとされ、巻き返す可能性はある。ホンダも今秋投入を予定している新型「フィット」のHV仕様で、燃費を大幅に向上して、アクアに対抗する算段だ。

結局のところ、もはや日本の「国民車」の地位は、燃費が良く、環境に優しいイメージも定着したHVに完全に取って代わってしまったということだろう。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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