菅元首相「東電は官邸に責任転嫁している!」 「炉心溶融」を隠ぺいしたのは誰なのか?

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「第三者検証委員会」による記者会見、中央が田中委員長(記者撮影)。翌日の菅氏の「説明を受けたい」との申し入れに対し、田中氏は「説明はできません」と断ってきたという。

調査を担当した弁護士は「職務権限がないこと」を理由にしているが、私自身は以前に職務権限がなかった民間事故調査委員会による聴取にも協力した。

「官邸側」の中身も調べずに東電がそういったものに配慮してやったというのは、東電による隠ぺいを官邸の責任にすり替えようとするものだ。

――東電の廣瀬直己社長は報告書を踏まえて6月21日に記者会見を開きました。その場では、「官邸側からの要請うんぬん」に関しては事実認識を示さずに、再発防止に全力を挙げるとだけ、繰り返しました。

何度も申し上げるが、第三者検証委員会という以上、一般の方々は裁判所のような第三者が検証したとの印象を持つ。実際は違っていて、東電自らが頼んだ弁護士に検証させたのだから、東電の責任で検証したと言うべき。東電は当事者であるにもかかわらず第三者に任せたという形で、まさに舛添さんにそっくりだ。この点については調査不十分なものを公表したということで、謝罪するならば謝罪してほしい。

「民進党を攻撃する材料として出したとしか思えない」

――菅さんのツイッターによれば、菅さんご自身が第三者調査委員会委員長の田中弁護士の事務所に翌6月17日に電話し、田中氏本人に「今日中に報告書について説明を受けたいと申し入れた」とのことです。

同日の午前中に電話したところ、田中弁護士は午後に「説明はできません」と断ってきた。おそらく関係者と相談したのだろう。「おかしいじゃないですか。『官邸側』という言葉を使っている以上、説明する義務があるでしょう」と申し上げたが、義務を果たそうとしない。

――参議院議員選挙が近い時期に報告書が出たことによる影響は。

民進党を攻撃する材料として出したとしか思えない。それ以外にこの時期に出す理由がない。枝野幹事長も怒っており、法的措置を取りたいと語っている。その判断については執行部に任せているが、衆議院の原子力問題調査特別委員会でも取り上げたいと思っている。国会が閉会中でもできる。第三者検証委員会の田中委員長にも来ていただきたい。

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