サ高住特集

価値あるサービスがキーポイント 整備目標上乗せ、補助金拡大

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高齢者が安心して暮らせる住居として、供給量も認知度も拡大しているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)。2020年に60万戸の登録を標榜していた政府だが、「1億総活躍プラン」で上積みを決定、従来の優遇措置もさらに拡充し、目標達成を後押ししている。土地オーナーや医療法人など、新規参入をうかがう向きもあるようだが、入居者に喜ばれ、地域にも貢献するサ高住の本質的なあり方とは、どのようなものなのだろうか。

一億総活躍プランで
サ高住供給を後押し

国土交通省・厚生労働省が所管する「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正によって、2011年10月に創設された「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」。国のさまざまな施策もあり近年、高齢者施設・住宅市場の中で急成長を遂げている。

KPMGヘルスケアジャパン 取締役
松田 淳
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。日本長期信用銀行に米国駐在を含めて13年間勤務。2002年6月KPMGヘルスケアジャパンへ。医療機関、シニアケア施設事業者を含むヘルスケア産業に関する経営戦略立案業務、ならびに投資、ファイナンス、事業再編、事業再生等のアドバイザリー業務に従事。

医療やヘルスケア関連産業に特化したコンサルティングファーム、KPMGヘルスケアジャパンの松田淳取締役・パートナーは「15年6月現在の推計になりますが、高齢者施設・住宅市場の規模は売り上げベースで約6兆3445億円。そのうちサ高住の占める割合は約6%、金額にして約376.7億円で、居室数は約16.1万室となっています。高齢者施設・住宅の中で株式会社が営み得るのは、有料老人ホーム、グループホーム、サ高住ですが、この3カテゴリーの中でサ高住が最も高い成長率を示しています」という。

背景にあるのは、もちろん高齢社会の加速化に伴うニーズの急拡大だ。政府はもともと20年までにサ高住の登録戸数を60万戸にするという目標を立てていた。その上で、アベノミクスの「ニッポン一億総活躍プラン」において、20年初頭までに2万人分を上乗せして整備することを発表した。さらに、政府はサ高住の供給促進のため、サ高住の整備を行う事業者に対して補助金支給、税制優遇、住宅金融支援機構による融資実施という支援を行っており、昨年度からは補助金の上限を新築120万円、改修150万円へと広げた。しかも、床面積30平方メートル以上で、住戸部分にトイレ、洗面、浴室、台所、収納の基本施設がすべて備わっている場合、新築の上限額が100万円から135万円/戸になった。数だけでなく住空間としての質的向上を図っている姿勢がうかがわれる。

こうした国の補助金に加え、自治体によっては自らのサ高住整備事業に従い、独自の補助金制度を設けているところもある。サ高住の市場拡大が見込まれ、通常の賃貸物件では得られない補助金等の支援もあるとなれば、土地活用を考えるオーナーにはマンション・アパート経営と並んで魅力的な事業機会に映ることだろう。

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