「路線バスの旅」に見る地方交通の厳しい現実 乗り継げず歩きが多くなるのには理由がある

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「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」第23弾のマドンナ・はいだしょうこさんと、レギュラーの蛭子能収さん、太川陽介さん(©テレビ東京)

2007年からテレビ東京の「土曜スペシャル」枠内で放送が始まり、9年目となった今年はついに映画化、しかも台湾縦断という初の海外進出も果たした人気番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」。リーダーシップをとる太川陽介さんと、とぼけた受け答えが笑いを誘う天然キャラの蛭子能収さん、そして「マドンナ」の女性ゲストという3人が、3泊4日の日程でローカル路線バスだけを乗り継ぎ、目的地を目指すという内容だ。

人気の理由は、なんといってもその「ガチンコ」の道中。ローカル路線バス以外の交通手段は使わず、ルートも全て3人が決め、インターネットでの情報収集などは禁止。なかなかルートがつながらず、数キロを歩いてバス停の間をつなぐこともしばしばだ。そんなハプニングが続出する筋書きのない旅の面白さが視聴者を惹きつける。

23回を数える人気シリーズ

番組は今年1月に水戸・偕楽園(茨城県)から長野・善光寺(長野県)を目指す第22弾を放送。第23弾の旅の舞台は九州。奇岩「鬼の洗濯板」で知られる宮崎県の青島を出発し、蛭子さんの故郷でもある長崎の有名観光地、グラバー邸を目指す。放送は6月25日夜6時30分からだ。

番組のロケは4月に行われたが、その最中に熊本地震が発生。撮影は完了したものの、当初5月中旬に予定されていた放送は被害の状況を考慮して延期となっていた。今回の放送には「この番組が流れることで、ちょっとでも笑顔になってもらえれば」(太川さん)、「番組を見て九州を思い出して、行ってみようかという観光客が増えればいいなと思う」(蛭子さん)と、復興支援の願いも込められているという。

シリーズの開始以来約9年、これまでの旅を振り返ってみると、そこには現代の日本が抱える地方交通の現状も浮かびあがってくる。

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