(第40回)<弘兼憲史さん・前編>壁新聞の制作で編集能力を培った

(第40回)<弘兼憲史さん・前編>壁新聞の制作で編集能力を培った

今回は、サラリーマンの人生をリアルに描いた『島耕作』シリーズでおなじみの漫画家、弘兼憲史さんのお話です。昭和58年に「課長」からスタートした同シリーズは、主人公の島耕作が5月からいよいよ社長に就任。漫画のその後も気になるところですが、そんな数々のヒット作を生み出す弘兼さんに、漫画家デビューまでの道のりや、学校時代のエピソード、今の子どもについて思うことをお話しいただきました。

●看板の制作風景に学ぶ

 僕は、山口県の出身で、岩国市立岩国小学校に通い、中学は私立高水付属中学校、高校は高水高等学校へ内部進学しました。

 幼い頃から絵が得意だったので、母親が絵の先生について学ぶようにと、幼稚園に入園する前から絵を習っていました。小学校3年生くらいまで、クロッキーから、水彩、油絵、彫刻、版画と好き勝手に学びました。そこで漫画の基礎が培われたと思います。
 自分は絵が描けるということを認識したのは、幼稚園のときでした。みんながでたらめな絵を描いているのを見て、「あ、そうか。俺はうまいんだ」と、初めて気づきましたね(笑)。

 家の隣に映画の看板屋さんがあって、いつも朝から晩まで看板を描く様子を見ていました。当時は写真を拡大できないから、絵を描くしかない。写真に小さい升目を入れてそれを拡大させて描くやり方です。それをずっと朝から見ていました。顔の陰の部分に緑を入れているから、「顔に緑なんか入れてよいのか?」と不思議でしたが、仕上がってみるとその緑がいい感じになっている。これは驚きでした。

 それから、親父は映画が好きだったので、字幕が読めるわけではありませんが、子どもの頃からずっと洋画を観ていました。映画館では騒がず、じっと観ていた記憶があります。純粋絵画より、ストーリー重視の漫画を選んだのは映画の影響かもしれないですね。
 あとは絵本。講談社が出しているアメリカンテイストなリアルなイラストの絵本を一日中観ながら、真似して描いていました。

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