注意!猛暑最高記録「41℃越え」が迫っている 「5年トレンド」で平均気温は上昇傾向

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また、夏場に発生した異常気象を年別に挙げると、以下のようになる。

(1)早い梅雨明け、または空梅雨・干ばつ・降水量の減少。1990年代に2回、最近では2008年に起こった。

(2)北太平洋高気圧の強化または北への偏り。2002年、2004年、2006年、2007年、2010年に発生しており、最も多い事例だ。

(3)オホーツク海高気圧の発達、または北日本の低温。逆に発生例は少なく、1996年と2008年。

(4)残暑の厳しさ。20世紀末から頻度が増しており、2000年、2002年、2009年、2010年に続き、ここ数年でもよく発生している。

(5)にわか雨・雷雨・集中豪雨。特に今世紀に入ってから顕著になった。洪水などの災害に結びつくことがあるため注意を要する。

「波状攻撃」だった2010年の夏

特に2010年は、高温期間の波状攻撃を受けた形となった。何であれ攻撃が1回限りであれば、いったん切り抜ければ何とか持ちこたえられるが、2度3度と繰り返されれば当然、ダメージは大きくなる。また、この年の6〜8月の平均気温は、記録が残る1998年以来の高さだった。日本全国の11地点で猛暑日数の記録を更新した。

2010年の夏を時系列で振り返ってみた。6月21~25日に猛暑。7月1〜5日は猛暑と集中豪雨。11~15日に集中豪雨。21~25日に猛暑。8月6~10日に猛暑。8月中旬は各地で最高気温を更新するとともに、台風による大雨。21~25日には峠を越え、26~31日にやや弱まった。しかし、9月1~5日にピークが再来するとともに、強烈な台風にも見舞われた。

このように6月下旬に小さな第一波が来て、7月の上旬と中旬にも小さい波がきた後、8月の中、下旬に大波が押し寄せた。

2010年8月17日に熱波のピークが来た際に観測された気温は37~38℃に達した。東京都の練馬と三重県桑名で38.2℃を記録。次いで、岐阜県多治見で38.1℃、群馬県館林で37.8℃、福岡県佐久間で37.7℃、岐阜県美濃で37.5℃、山梨県甲府、埼玉県熊谷、神奈川県海老名で37.4℃となった。

2015年の夏の全国的な平均気温は2010年ほど高くはなかった。しかし、地点によっては記録が更新され、8月5日に館林で39.8℃、福島県の福島で38.9℃を、それぞれ観測している。東京の都心は6日連続で猛暑日となり、1875年の観測開始以来の最長記録となった。

地球の温暖化が進めば、日本の南西部では年間で夏日が約40日増え、真夏日は20日以上、猛暑日は5日以上増えるだろう、とのシミュレーション結果を、国立環境研究所地球環境研究センターがかつて発表した。それが近年では、現実味を帯びてきた。

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