教養は「五感の曇り」を消す最大の助けになる 誰しも、自分のことを案外分かっていない

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なぜなら、自分の五感や心の曇りを感知することができたのは、教養というものの大きな助けがあったからだ。教養を得れば得るほど、ぼくは、世の中のいわゆる教養のある人たちが認知している世界と、ぼくの認知している世界にずれがあることに気づかされた。

そして、最初のうちは、まさか自分の五感や心が曇っているとは想像できなかったから、ずれている理由に皆目見当がつかなかったのだが、教養を積み重ねるうちに状況証拠が固められていって、とうとうそれを結論づけるまでに至ったのである。

人生の道先案内人のようなもの

そうして、それに気づいてから自分の五感や心の曇りを取り除いた状態で再び世の中を見てみると、それはいわゆる教養がある人々が見ていた世界と同じだった。その時点で、ぼくはそれまでの自分が誤りであったということを確認もできたのだった。

その意味で、教養とは人生の道先案内人のようなものだ。おそらく、ほとんどの人は自分の五感や心が曇ることを避けることができない。しかし、それでは具合が悪いので、そのことに気づき修正する必要があるのだが、そこで最大の助けとなるのが教養なのだ。

教養は、いうならばピアノの調律のような役割を果たす。それがなくてもピアノを弾くことはできるが、それがなければ良い音楽は奏でられない。つまり、教養がなくても生きることはできるが、良い人生を生きることはできないのである。

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岩崎 夏海 作家

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いわさき なつみ / Natsumi Iwasaki

1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著『部屋を活かせば人生が変わる』(累計3万部)などがある。

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