フィリピン「親中大統領」は、害悪をバラ撒く 日本にとっても深刻な問題になりかねない

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大統領選挙期間中も過激な発言を繰り返し、「フィリピンのトランプ」と揶揄されたロドリゴ・ドゥテルテ氏(写真:ロイター/アフロ)

6月30日、ロドリゴ・ドゥテルテ氏がフィリピンの新大統領に就任する。同氏は長年ダバオ市長として犯罪対策に顕著な実績を上げてきたが、放言癖で知られており、大統領選挙期間中も過激な発言を繰り返した。この人物が大統領になったことにより、フィリピンはどう変わるのか。そして、日本はどのような影響を受けるのか。

ドゥテルテの対外政策は?

ドゥテルテ氏は選挙期間を通じて「フィリピンのトランプ」と揶揄された。たとえば、「私が大統領になれば、血を見る機会が増える」「犯罪者は殺す」と言ったり、同氏が女性を侮蔑する発言をしたので米国とオーストラリアの大使が非難したのに対して、「黙れ、両国と関係を切ってもいい」と言い放ったりと、「常軌を逸した」と評するほうが適切なくらいひどい発言を行なった。

ではドゥテルテの対外政策はどうなるか。これには不透明な点が多い。新政権が最初に直面する問題は、南シナ海のスカボロー礁(Scarborough or Panatag Shoal)での中国との紛争に関する国際仲裁裁判所の判断だ。これは近日中に発表されるという見方が強くなっている。

スカボローはマニラの西方海域にある岩礁。2012年、中国は自国の漁船を守ると称して艦船をその海域に侵入させ、それに対抗してフィリピンも艦船を派遣し、双方がにらみ合う形になった。その後フィリピン側は米国の斡旋を受け入れて撤収したが、中国側は今でも居座っている。

ドゥテルテはかねてよりベニグノ・アキノ大統領の対応は軟弱だったと批判し、「スカボロー礁は中国にとられた」とか、「スカーボロー礁に行って旗を立てる」と威勢のよい発言をしたこともある。

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