(このひとに5つの質問)篠田和久 王子製紙社長

(このひとに5つの質問)篠田和久 王子製紙社長

昨年夏、北越製紙への突然のTOBですっかり業界の暴れん坊になってしまった製紙業界の「王子」。これまでの内需型のカラを破って世界の供給拠点を目指す。(『週刊東洋経済』12月8日号より)

これからアジアは世界の紙生産拠点になる

1 三菱製紙が実施する第三者割当増資800万株を約18億円で引き受けます(持ち株比率2・3%)。6月に発表された特種東海ホールディングスとの提携も持ち株比率1・8%と、いずれも小粒。今後の企業統合は視野にありますか。

 日本企業は出資という形に非常にこだわりがあるため、こういった形になった。統合うんぬんについては、今の段階では白紙、というほかない。三菱製紙とは(生産拠点の割り振りなど)これから検討していく。提携効果は年間5億円程度と見ているが、この倍くらいの効果が出るようにしたい。特種製紙とは特殊紙での提携効果を20億円と試算しており、2009年度から収益計画に織り込めるはずだ。

2 製紙原料である古紙価格や原油価格が急騰を続けています。紙製品も値上げを進めていますが、今年はメーカー側の要求どおり順調に進んでいます。

 現在は段ボールケースに取り組んでいるところだが、ほぼ考えているとおりに進んでいる。われわれだけではなく、製紙業界全体が、自助努力によるコスト削減の限界に来ているため、各社ともほかに選択肢がないということだ。原油や石炭の使用量は、バイオマス燃料の導入などで各社差があり影響はまちまちだが、古紙や原木チップはまだ高騰を続けており、さらに価格改定を実施する可能性はある。

3 国内の洋紙生産量は過去10年間1%増程度。すでに王子、日本製紙グループに統合が進み、2強の時代ですが、生産能力の過剰はまだ解消されていません。

 当社でも富岡工場で大型機1台(生産能力35万トン)が来年末に稼働するが、6台の小型機を停止する。基本的にはリプレースだ。他社の新設機械でも増産分は輸出に回すと聞いている。国内で需給が緩むとは考えていない。

4 中国の南通の生産拠点がいよいよ着工になりました。現地需要の見込みは?

 南通では2010年に生産を開始する(年産能力40万トン)。翌年にはパルプからの一貫生産を開始し、15年には2号機の完成で同80万トンになる見込みだ。中国での需要は現地メーカーの増産を加えてもはるかに上回ると予想されるうえ、周辺諸国の需要増も見込める。ロシアや東欧を含めると世界的には紙の需要はまだまだ伸びる。アジアは今後、世界の紙の生産基地になっていくと考えている。

5 製紙業界全体の課題として、メーカーと流通の垂直統合の必要性がいわれています。

 今すぐにわれわれが何かを仕掛ける、という話はないが、一般論としては川上から川下の統合のほかに、流通同士の統合も必要だろう。将来的には、そういった動きも出てくる可能性がある。

(書き手:小長洋子)

しのだ・かずひさ
1946年愛知県生まれ。一橋大学法学部卒。69年王子製紙入社、2001年関連事業本部長、03年経営管理本部長、05年常務取締役を経て06年6月より現職。

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