次の相場の山で儲ける法、教えます 国債バブルがはじけるとき

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さて、本当に相場で役に立つのは、前出の第四の金言だ。相場で儲けるには知的好奇心はいらない。明らかなチャンスのとき、どう見ても確実に儲かるときに買い、早めに売ることだ。何の知的作業もいらない。もっと儲けられたのに、という後悔を資産運用の辞書から消し、かっこよく自慢できる儲け方を追求することを忘れることだ。

今の日本で「リーマン」にあたるものは何か

今回で言えば、アベノミクスで円安、株高が始まったときに買い、投票日の前の週末に少し買い増し、選挙後の月曜日に売ればよかったのだ。

これは後付けではない。いちばん易しい投資機会は、モーメンタムの中腹にある。バブルが始まったら、そのバブルに乗り、そのバブルがまだ続きそうなときに止めるのが、投資の最も安全な儲け方だ。ただし、これは大きなチャンスを逃す。なぜなら、バブルは後半ほど、終わりに近づくほど激しく上昇するからだ。

もちろん、これを取りに行く、という手もある。なぜなら、膨らんだバブルは一発では崩壊しないからだ。崩壊してから逃げるチャンスは一度はある。

リーマンショックのときは、07年8月のパリバショックがあり、あそこで明らかにバブルは終わっていた。それにもかかわらず、07年10月頭にNYダウは最高値を更新した。このときに逃げることができた。

なぜ、このようなチャンスが生まれるかというと、バブルのときは、全員が投資するから、一気に崩壊しては全員が困るためだ。そして、バブルであることはわかっているから、逃げる準備は皆していることで、うまく徐々に逃げる暗黙の了解があるからだ。

リーマンショックは、その期待を裏切った。逃げる準備はできていたが、リーマンを潰す、と言う形でいきなり終焉するのは、暗黙の了解違反だったからだ。

日本国債はバブルかもしれない。私はこれまではバブルではなかったと思っている。だが、円安トレンドが確立すれば、今の水準は維持できない。当然、皆逃げる準備をしている。ただし、暗黙の了解で、少しずつ逃げるだろう。

したがって、今、政府がしてはいけないことは、いきなりリーマンを潰すことだ。それが今の日本では何に当たるか。

それは皆さんへの宿題である。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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