日本の近未来?車と家を買わない米国人たち 「アメリカンドリーム」の価値観は消えた?

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さらには若者のライフスタイルの変化につれて、消費スタイル、価値観自体が変わってきていることも大きな理由です。そして、ライフスタイルに変化をもたらしている最大の要因は、テクノロジーです。

かつては車、今はスマホ?

かつて車と運転免許は「大人になるため」そして「自由を手に入れるため」に必要不可欠なものでした。それがあるモノに取って替わられたというのです。それがスマホです。

ニールセンによれば85%のミレニアルズがスマートフォンを所有しています。さらに携帯の下取り情報サイト、セルセル・ドットコムの調査によれば、6割近いミレニアルズは過去5年間に3回機種を変えています。ということは、ミレニアルズが5年間にスマホ入手にかけた金額は1人平均で1593ドルに上ることになります。

さらに7割がアーリー・アップグレードプログラム、つまりつねに最新機種に交換するプランに入っていて、5割が「スマホの最新機種を持つことが、時代の先端を行くこと」と考えていると報告されています。

かつては郊外に住む若者は、マイカーを運転し近隣の友達の家を行き来していたのが、今は離れていてもスマホでゲームもできるし、フェイスタイムでチャットもできる。その他アプリを使ったコミュニケーションがよりどりみどりなのは言うまでもありません。

その結果、以前より人と頻繁に会う必要がないから、親の車をたまに借りるので十分なのです。

さて、所有することを避けるミレニアルズに向け、さまざまな新しいサービスが誕生し、勢力を伸ばしています。それらについては後編でお伝えします。

(※後編は8月6日に公開予定です)

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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シェリー めぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター

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横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。

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