ソフトバンク、アローラ氏「突如退任」の衝撃 ゲーム会社売却で8800億円獲得と発表直後に

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アローラ氏を「ソフトバンクの変革をリード」する人物と紹介していたが… (撮影:尾形文繁)

6月21日午後8時01分、ソフトバンクグループはニケシュ・アローラ副社長が翌22日付で退任し、7月1日付で顧問に就任すると発表した。

アローラ氏は22日に開催される株主総会で取締役に再任予定だったが、決議案からアローラ氏の氏名を削除することで総会では再任されず、自動的に退任することになる。

アローラ氏は2014年9月、米グーグルの最高事業責任者から、ソフトバンクに孫正義社長の後継候補として入社。タクシー配車サービスの「オラ」など、インドや東南アジアでベンチャー企業への出資を立て続けに実現させた。今年4月には投資事業を統括する中間持ち株会社のトップに就任するなど、ソフトバンクの投資部門を率いてきた。一方で、初年度に当たる前期は165億円、今期は80億円と年俸の高さでも注目された。

孫氏「あと5~10年は社長を続けたい」

発表当夜、アローラ氏は「今でもマサのことを愛している」とツイッター上で語っていた(撮影:尾形文繁)

ソフトバンクによれば、孫社長は60歳の誕生日(2017年8月11日)にアローラ氏に社長の座を禅譲するつもりでいた。ところが、「ソフトバンク2.0(グローバル展開を一段と加速させる新・長期戦略)の構想を強固にし、米通信大手スプリントを真によみがえらせ、その他いくつかのクレイジーな構想を実現するにはあと5~10年は社長として率いて行く必要がある。ニケシュを待たせてはいけない。そこでニケシュと話し合った」(孫社長)という。

ソフトバンクは今月に入ってから、中国EC最大手のアリババ株を一部売却、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株をほぼ売却と、過去の投資活動の資金回収を急いできた。アリババ株とガンホー株の2銘柄ですでに計1兆円のキャッシュ獲得が確実だが、アローラ氏の退任発表2時間前の同日午後6時57分には、子会社でスマホゲーム世界大手のスーパーセル(本社フィンランド)の売却を発表していた。ソフトバンクは同社株を72.2%保有する筆頭株主。3銘柄合計で2兆円近い現金化だ。

主要タイトルはアクション・戦略ゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」で世界トップのスマホゲームだ。アプリ調査会社アップ・アーニーによれば、2015年のスマホゲームの世界収益ランキング(アプリマーケットのApp store、Google Playの合計)で、クラッシュ・オブ・クランは1位を獲得。提供会社別のランキングでみても、スーパーセルは堂々の1位だ。

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