ついに動き出した、巨艦・NTTのO2O 日本最大級の実証実験の衝撃(上)

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NTTグループの実証実験では、個人情報には細心の注意を払っているという。たとえば、阪急阪神側からデータを受け取る際も、個人が特定できない形式に変換されたデータでやり取りする。

ビッグデータを効果に結びつける分析手法を発見するのは難しい。しかし、ビッグデータそのものの可能性への期待は大きい。

「今回の実験では、ビッグデータをいかにマーケッターに意味がある形に可視化することが、1つのチャレンジ項目だ。可視化をしてフィールドで効果があることを検証し、ロジックを立てて自動化していく。世の中的にもわれわれ的にも、これからの領域。そこはチャレンジだ」と福島氏は、意気込みを話す。

現在では、ビッグデータよりもO2Oのほうが、すでに一般的になっている。チラシやクーポンをデジタルに置き換えるなど、ある程度実用の域に来ている。それでも、消費者からすると、欲しくない情報までたくさん来て困ることもある。

「ビッグデータを有効活用できれば、アプリを使っていくうちに自分好みの商品写真が目に入ってくるとか、おすすめ情報も自分の趣味・嗜好、興味・関心に合ったものが来たりするようになる。そうなってくると本当に価値が出てくると思う。お客様が使っていて『気持ちいいな』と思ってもらえるか。そのあたりが大きなチャレンジ」(高屋氏)。

クーポンを配信するO2Oサービスが、ビッグデータで一歩先へ進化する。消費者が本当に喜ぶ情報を、心地よいタイミングで送れるかどうかが成功のカギを握る。

次回は、今回の実証実験でWi-FiやNFCがどう活用されているのか。ソーシャルメディア活用がどう絡むのか。そして、NTTグループのO2Oにかける意気込みについてレポートする。

(撮影:今井康一)

 

 

 

 

 

 

 

過去の連載が本になりました。『O2O新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社)として発売中。Kindle版などの電子書籍も展開開始。

 

松浦 由美子 ITアナリスト

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まつうら ゆみこ / Yumiko Matsuura

ITアナリスト。

ITエンジニアとして半導体ウェハ検査装置の開発や原子力・ETCなどのインフラ制御系システムの開発、大手印刷会社のIT技術センター部門でセキュリティ関連のサービスや画像情報データベース、地図情報サービスなどのWeb開発に携わる。現在は、「ITからリアル世界への翻訳者」として、テクニカルな話題を一般読者にわかりやすく解説することをモットーに活動中。

著書に『O2O 新・消費革命 ネットで客を店舗へ引きつける』(東洋経済新報社、 2012.10)、『O2O、ビッグデータでお客を呼び込め!- ネットとリアル店舗連携の最前線』(平凡社新書、2014.1)、東洋経済オンラインにて「O2O ビジネス最前線」を連載中。

テレビのニュース番組やラジオ、講演など「O2O」に関する出演多数。
連絡先:松浦由美子公式ページ

 

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