スペインで「アルビレックス新潟」を立ち上げ アルビレックス新潟の奇跡:第5回

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また、成功の背景には地域密着の展開もあるでしょう。シンガポール在住の日本人がファンのベースになっていますが、やはり現地の人たちにも応援していただかなければ継続性がないし、存在意義もあるとは言えません。そこで、是永氏は地元の人にもアプローチをしました。そして、現地の人たちが熱狂的なサポーターになることによって日系企業の支援も受けやすくなったわけです。

また、これはいい意味での想定外だったのですが、若手選手がシンガポールに行くことによって、そこから世界各国のプロリーグに飛び出していくという流れが生まれました。たとえば、インドネシアで一番のスター選手はアルビレックス新潟シンガポールの出身です。現地では、グッズの売り上げなども断トツで立派なヒーローになっていますよ。

海外に出ることに意義がある

ほかにもインドやタイ、マレーシア、オーストラリアといったリーグに30人以上が行っていて、ヨーロッパのリーグに行った選手もいます。そして、そこで力をつけてまた日本に戻ってくるというケースも出てきているのです。

最終的には、日本の若者が国内だけにいるのではなくて、1年でもいいからシンガポールに行って海外の慣れない環境で鍛え上げられる。そして、現地で得点王などのタイトルを獲って日本に戻ってきて、Jリーグで活躍する。さらに、そこから日本代表としてワールドカップに出場するような成功モデルができると、ものすごく脚光を浴びるようになるでしょう。今はちょうどそのスポットライトがつき始めたところだと思います。

――海外でプレーするということで、当初選手たちの反応はどのようなものだったんでしょうか?

最初は「日本でダメだから海外に行かされるんですか」「私たちは絶対に行きませんよ」という反応ばかりで、まるで島流しか姥捨て山のような扱いですよ。もちろん、本人が希望しない場合は行かせることはありません。しかし、選手一人ひとりとじっくり話して「海外を経験すれば、たとえそこで結果が出なくても、人間としてすばらしい財産になるはずだ」と言っても、まるで聞く耳を持たない状態でした。

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