2012年の日本経済を、競馬と回顧してみよう 凱旋門賞は逃したがノーベル賞はしっかり

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福島の現実を思い知らされた夏

7位:秋の天皇賞、デムーロ騎手が天皇陛下に最敬礼(10月28日、東京競馬場)

 久々の陛下御臨席レースと聞いて、「外国人騎手が勝利して派手にガッツポーズ」という絵柄が思い浮かんだ。そうしたらエイシンフラッシュ騎乗のデムーロ騎手が、見事にコースの内側を走らせる妙技で、エイシンに久々のG1勝利をもたらした。しかも勝利を称える陛下に対し、膝をついて深々と一礼。日本国民として感謝の脱帽です。

6位:福島競馬が再開。夏の七夕賞はアスカクリチャンが勝利(7月8日、福島競馬場)

震災と原発事故で閉鎖されていた福島競馬場がこの春にオープンした。不肖かんべえも、新幹線料金1万7000円を注ぎ込んで、夏の七夕賞に参戦しましたぞ。交通費回収はおろか、単勝54倍アスカクリチャン勝利というワイルド過ぎる結果に、目が点になりましたが。

福島駅の新幹線のホームには、「あなたの旅がふくしまの元気です、応援ありがとう」という幟がかかっていた。いや、自分はJRとJRAを儲けさせただけで、地元経済にはほとんど貢献していない。今も変わらぬ被災地の現実を思い知らせてくれた福島遠征であった。

5位:競馬の負けは必要経費か?ファン注目の裁判始まる(11月19日、大阪地方裁判所)

競馬で稼いだ所得を申告せず、約5億7000万円を脱税したとして、大阪市の会社員が所得税法違反で大阪地裁に起訴された。男は総額28億円もの馬券を購入し、1億円を超す利益を得ていたが、大阪地検は外れ馬券の購入額を必要経費と認めず、実際のもうけを大幅に上回る脱税額で立件した。

競馬で勝ち続けるという「夢」を実現した被告は、国税の査察が入るという「恐怖」を味わうことに。願わくば本件、大阪国税局の「勇み足」となりますように。

4位:阪神大賞典、オルフェーヴル逸走で見せた「心の闇」(3月24日、阪神競馬場)

ぶっちぎりでリードして、第3コーナーで逸走して完全にレースを離脱した馬が、再び馬群に戻って2着でゴールする。何という無軌道ぶり、なんという強さ。競馬ファンでない人も、あの映像にはさぞかし驚いたことだろう。筆者もまた、競馬場で凍りついてしまった一人である。

常識を超えた圧倒的な強さというものは、どこか内部に闇の部分を抱えているものだ。競走馬オルフェーヴルに「畏れ」のようなものを感じた瞬間だった。 

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