提案力を徹底比較! ケース別・おススメ生命保険◆30代編(全5ケース)

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ケース9◆30代後半【37歳・女・独身】
せっせと蓄財、老後は外国暮らし

37歳独身女性。年収600万円のキャリアウーマンで、結婚については未定だ。実家に住んでいるので住居費はかからない。毎月15万円の貯金をしており、現在の貯蓄額は700万円。老後は海外で暮らすのが夢だ。喫煙歴は3年だが5年前に禁煙した。性格は「シンプルなものが好きで、基本的に人任せ」。保険料は「安いほうがいい。1万円くらいまで」という希望を持つ彼女への各社の提案は--。

医療保険と終身保険を中心に各社の提案が出そろった。この女性の希望は「保険料は1万円くらいまで」だが、2万円を超える提案をしてきた生保も6社。いずれも販売員による対面型営業が主力の会社である。

月額保険料4万1458円の住友は「独身であること、老後資金の貯蓄ニーズが強いことを踏まえ、貯蓄目標の一部を兼ねることを前提に、60歳から10年間(年金額120万円)の年金プラン」を提案している。さらに入院時の保障も充実の内容である。三井住友海上きらめきは、終身保険979万円と医療保障の組み合わせ。

最も保険料が安い提案はオリックスの3120円で医療保険単品。損保ジャパンひまわりも保険料6955円の医療保険を提案しており、こちらは3年ごとに生存給付金がつく。一方で、アフラックの保険料は1万0841円と、1万円を若干ながら上回った。ガン保険と介護終身年金を組み合わせているのが特徴だ。なお、この介護終身年金は「60歳で解約しても(掛け金の)戻り率は100%を超える」(同社)という。

保険料1万0066円と、希望掛け金とほぼ同一の提案をしてきたのが東京海上日動あんしん。医療保険とガン保険の組み合わせだ。朝日も希望保険料を考慮した1万0462円の保険料で、医療保障に定期保険900万円がつく。ただ10年更新なので、10年後の更新時には保険料がアップしている可能性もある。

「シングル女性には原則として死亡保障は不要」とFPの和泉昭子氏は言い切る。「その分、医療保障を充実させたい。一人暮らしなら、入院時などの家賃負担や人手の面でコストがかかるが、実家暮らしで貯蓄もあるので、医療保障も日額5000円に女性疾病5000円を足した程度で十分だ」。

FP・塚野玲子氏も和泉氏と同じ見方だ。「葬儀費用などの死亡時整理資金は、社会保障と現預金分で十分足りているので、死亡保障は必要ない」。医療保険についても「5000円程度で十分」と言う。FP・三輪鉄郎氏も「貯蓄もあることから保険での死亡保障は基本的に不要」である。

ただ、死亡保障は不要でも、老後への備えはどうか。「将来的にもシングルの場合、老後資金は充実させておきたい」と和泉氏。塚野氏は「現状から想定される家計収支では約500万円不足する」と見る。

ではどのような保険商品がふさわしいのか。「円建て定額型の個人年金は現在のような低金利期に入るのは不利。将来、海外で暮らすのであれば、外貨のまま引き出せる外貨建て商品がいい」と和泉氏。「AIGエジソンとアリコはドル建て商品を提案しているが、いずれも終身保険。たしかに貯蓄性はあるが、明確に老後資金目的ならむしろ年金商品のほうがいいのでは」。

たとえば、年金商品ではアクサが変額年金を提案している。「月額1万円から積み立てられ、増額もできるので、資産形成手段として使いやすい」(和泉氏)。ただし、保険商品での運用は保障がついている分、株や債券、投資信託などで運用するのに比べて効率が落ちるのが難点だ。

三輪氏は保険よりもほかの金融商品を提案する。「ずっとシングルの予定であれば、老後資金の準備のためにも資金使途に制限のない貯蓄を優先したい。医療費についても、貯蓄が十分できればカバーできる。もし、不安があるならば、終身の医療保障を払い込み期間満了のあるもので」。

■各社のお勧めプラン(画像をクリックすると拡大表示します)

【表(各社のお勧めプラン)の見方】
●社名:緑は通販型、紫はコンサル型(生保系および一部の外資)、紫はコンサル型(損保系)●商品名:各社が提案する商品名。複数の商品を使った提案や他社の商品を使った提案もある ●月保険料:原則として月払い保険料、商品が複数の場合は合計額 ●払込期間:保険料の払込期間。保険料更新型の場合は更新までの期間。主契約と特約、あるいは複数の商品間で期間が異なる場合は、主契約または主力と判断される商品(特約)について記載 ●保険期間:保障が終了するまでの期間、以下払込期間と同じ ●保障内容:各社から回答があった保障内容を記載。スペースの都合上、掲載しきれない場合は原則として回答内容の重要度を勘案して文末から削除 ●勧める理由:各社の提案理由を記載

【調査について】
3月下旬に主要生保に統一書式でアンケートを依頼、21社から回答を得た。(回答会社:日本、第一、住友、明治安田、三井、富国、太陽、朝日、かんぽ、アリコ、アフラック、アクサ、ソニー、オリックス、東京海上日動あんしん、損保ジャパンひまわり、損保ジャパンDIY、三井住友海上きらめき、AIGエジソン、AIGスター、チューリッヒ)。既往症の有無やプロファイル情報の多寡を理由に一部未回答のケースもあるが、基本的には回答があった全内容を掲載した。 (注)他の生保商品や企業の保障制度の加入は無視の前提。アカウント型商品(保険料の一部を積み立てておき、貯蓄としての活用や、将来の保障変更時の原資とする)の場合は、原則として積立金を最低限にした提案。既往症があるモデルケースについては、既往症の程度についての各社のスタンスが異なるため、加入に際しては販売員やコールセンターに確認する必要がある

(週刊東洋経済 4月26日号より 撮影:吉野純治)

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