半導体事業の整理は3月末までに決着 富士通・山本社長に聞く

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話題先行だったスーパーコンピュータでは商用運用が開始しており、各研究機関から注目されている。現在はオーストラリアや中東、南米などで商談が進行している。また、クラウドサービスは、データセンターを利用したビジネスが進化し、農業クラウドや犬の健康診断サービスなどを追加した。クラウドを活用したビッグデータも商用化し、コンサルサービスを始めている。ようやく実際のビジネスとして立ち上がってきたところだ。

プロダクトでは、12年はスマホが本格化した年だった。スマホ「アローズ」「らくらくスマホ」などはかなりのシェアがとれている。アイフォーンの対抗軸とも言われるが、独自性を大事にしながら育成していきたい。タブレットPCも来年度以降、さらに注力していくことになるだろう。

現在の世界経済は牽引役がおらず、13年も立ち上がりは厳しいのではないか。ただ、日本は選挙で自民党が勝利し、円安、株高の傾向が続いている。今後は少し期待できるだろう。一方で、日中間など諸外国との問題は長引くとみられる。日本は中国市場に依存している部分もあるので、注意が必要だ。富士通は中国で1000億円規模のビジネスを展開しているが、影響があると考えなければならないだろう。

以下に報道陣と山本社長との一問一答をまとめた。

強みのサービスに軸足を移す

――12年4~9月期決算では海外売上が大幅に減少。欧州各国の財政再建が本格化するなど、この先も需要拡大が見込めない中、海外事業をどう展開していくのか?

海外の中で大きな拠点がドイツ。子会社のFTS(富士通テクノロジーソリューションズ)はプロダクト販売がメインで、サービスがサブの位置付けだが、プロダクト関連は景気に連動するため苦しい1年だった。やはり、富士通の強みであるサービスに軸足を移さなければならない。富士通全体で体制の変換を図りたいと思っている。

また、欧州各国の財政状況が厳しい一方で、ITを活用した効率化策は注目されており、全体としてIT投資の需要は落ちていない。たとえば財政圧縮を進めている英国子会社の売上は堅調だ。今後、欧州ではこうした効率化策の面で積極的に提案していきたい。

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