英国EU離脱で「リーマン並み超円高」は本当か 23日の国民投票が徐々に近づいてきた

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英国が「EU離脱」となれば、どうなるだろうか。為替市場ではまず、ポンドとユーロが対円で下落するだろう。そして、世界的なリスク回避の流れが強まり、安全資産として見られている円は、対ドルで大幅に上昇すると見られる。つまり円高が加速するということだ。

100円まで円高が進めば、トヨタの利益は2000億円減

日本企業の多くは、為替が円高に振れると業績のマイナス要因となる。内需企業は円高推移で恩恵を受ける可能性はあるが、リスク回避の流れは株売りが含まれるので、そういった内需企業も根こそぎ売られる可能性がある。

日本を代表する企業であるトヨタ自動車は、2017年3月期業績見通しの想定為替レートを「1ドル105円」と設定している。同社は1円円高に進むと、年間で営業利益が400億円減少すると見られている。

仮に、ドル円が100円まで円高が加速すると、1ドル105円の時から比べれば、同社の営業利益は2000億円もはく落する。つまり、金融市場の混乱がトヨタのような輸出企業の業績を下押しする可能性が発生するわけだ。

もちろん、すでに日本のメーカーの生産基地は多様化しており、従来よりは円高の影響を受けにくくなっている。また、例えばトヨタなどの場合も、円高進行が一時的に留まり、年度末にかけて105円の水準まで戻れば問題は少なくて済む。

だが、果たして、英国という大国がEUという巨大な経済圏を離脱する影響が、瞬間的な影響にとどまるのだろうか?もし「EU離脱」となれば、移民政策が大きく転換される可能性があるほか、「官僚的なEU間の貿易は弊害も大きいので、離脱で今よりも自由な貿易が可能になる」との見方もある。だが、各国との交渉がスムーズにいくかどうかはわからず、正直なところ具体的な絵は見えてこない。

英国のオズボーン財務相(残留派)は、「EU離脱」が実現した際、英国の貿易・投資が減少し、300億ポンド(約4兆5000億の歳入の欠損が生じるため、増税などで埋める必要があると指摘している。また、1年間の景気後退に加え、ポンドは12-15%下落するともコメントしている。

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