ついにアリババ株を売却した孫社長の胸の内 なぜ今、資産売却を急いでいるのか

拡大
縮小
「皆さんより2年先を見ている」と話す孫社長。どんな未来が見えているのか?(撮影:梅谷秀司)

孫正義社長はいったい、何を画策しているのか。6月に入って、ソフトバンクグループがにわかに資産売却を急いでいる。

中国EC(電子商取引)サイト最大手のアリババグループホールディング株を初めて売却。同社株で3年後に償還される、「他社株強制転換証券」も発行して、巨額の現金を手に入れた。その額は合わせて88億ドルだ。

アリババ株以外に、持ち分法適用会社でスマホゲーム大手、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの自社株TOB(株式公開買い付け)に応じることも発表。ソフトバンクはガンホー株を売却し、730億円の現金を手にする。アリババ株売却と合わせ、得るキャッシュは、合計で1兆円弱にも上る。

出資比率はアリババが5%強低下し27%に、ガンホーは23%強下がり2.3%となる。そのほか、子会社でスマホゲーム大手、スーパ―セルの売却説も浮上している。

ヤフー株の買い増しか?

なぜ今、資産売却を急ぐのか。ソフトバンクは一連の売却について、「有利子負債の返済に充当するほか、一般事業目的に活用していく」と理由を説明するが、これを額面どおり受け取る者はいない。

特にアリババについて孫社長は、「前途に壮大な成長機会が広がっている」と持ち上げていた。であれば、売るよりも持っていたほうがよさそうなもの。謎は深まる。

巷間、うわさされているのは、子会社ヤフージャパン株の買い増しだ。ヤフーは43%を保有するソフトバンクグループが筆頭株主。第2位は35.5%の米ヤフー。現在、米ヤフーは経営難から、日本のヤフー株売却を模索している。相手先として米通信大手、ベライゾン・コミュニケーションズの名が挙がる。

次ページ実際は手元資金も潤沢だが・・・
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT