キッコーマン「生しょうゆ」、3つの革命 1500社がひしめく激戦区でスマッシュヒット

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ただ、卓上タイプは少量ずつ使うにはよいが、まとまった量のしょうゆを加えて味付けをするなどの調理用には使いにくい。そこで12年8月、450mlのボトルに入ったタイプを発売。ボトルの二重構造は卓上タイプと同じだが、ボトルの形状を変え、大容量のしょうゆを素早く出せるようにした。

実はこの三つ目の「革命」は、パウチをボトル化したことにとどまらない。実は、使いやすさを徹底的に追求した「見えざる」革命を遂げているのだ。

卓上ボトルは、内袋と外側のボトルの間に空気が入るため、外側の柔らかいボトルを押すと空気圧がかかる。軽く押せば一滴ずつ、長く強く押せばまとまった量のしょうゆが出る。しょうゆが減ってくると内袋だけがしぼみ、外側のボトルは変化しないため、最後まで立てておける。

また、卓上タイプでは1滴ずつ出しやすいように注ぎ口が一方向にとがっているが、450mlボトルでは全方向にしょうゆを出せるよう、注ぎ口は平らにした。こうして、キッチンでも使いやすいボトルが出来上がった。

「消費者が本当に欲しい」しょうゆを追求

このように、和食以外にも合う生しょうゆという中身だけでなく、それを最高の状態に保つ容器を生み出したのは、「消費者が本当に欲しいしょうゆは何か」を追求していった結果である。

開発には苦労もあった。しょうゆに関しては、顧客のニーズをくみ取るのが極めて難しい。「ボトルから注ぐとき、出しすぎてしまう」「すぐに色が変わってしまう」などの不満点があったとしても、「しょうゆとはそういうものだ」と我慢してしまうことが多いためだ。

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